実は奥が深い!全身的にとても 重要な分泌物「唾液」とは?

今回のコラムのテーマは「唾液」です。普段、何気なく身近にある唾液ですが、実は全身に深いつながりを持つ重要な役割をたくさん持っています。 新しいスタートにあたり、健康診断などを受ける機会も増えてきますので、唾液についての知識を深め、健康に関心を持っていただきたいと思います。

目次

1.「唾液」とは

唾液ってそもそも何でできているのでしょう。そしてどこから出てきてどんな働きをするものなのでしょうか? また、お口の中や「歯」とはどんな関係性にあるのかも併せて考えてみましょう。

そもそも唾液ってなに?

「唾液」はお口の中を潤している分泌液で、一般的に「つば」と言われているものです。

お口の中にある「唾液腺」という部分から、通常1日に1~1.5リットル分泌されるとされています。(ただし、分泌量は健康状態・年齢などによって差があります)

成分としては99。5%が水。そのほかに電解質、粘液、多種の酵素を含んでいます。

唾液はどこから出ているの?

唾液腺には「大唾液腺(だいだえきせん)」と「小唾液腺(しょうだえきせん)」があります。主に分泌量が多いのが耳の下あたりにある耳下腺、下顎にある顎下腺、舌の裏側の筋付近にある舌下線です。 他にも上あごの内側である口蓋(こうがい)、口唇、舌などに小さい唾液腺が多数あり、これらから分泌され、お口全体を常に潤すことでさまざまな働きをしてくれる液体なのです。

唾液と虫歯の関係

唾液と虫歯は密接な関係です。

唾液は粘液性のある唾液やサラサラとした漿液性(しょうえきせい)の唾液など、性質に個人差があります。粘液性の強い唾液よりも漿液性の唾液のほうが、汚れを洗い流す「自浄作用(じじょうさよう)」が効率よく働くため、虫歯になりにくい性質と言われているのです。

2.唾液の働きと効果を知りましょう!

唾液の持つ「さまざまな働き」とは一体どのようなものがあるのでしょうか?唾液の効果的な働き8つをご紹介します。

食べ物を消化してくれる働き

唾液に含まれている「アミラーゼ」という酵素には、食べ物を消化してくれる働きがあります。「よく噛んで食べなさい」と言われるのには、噛み砕くことの他に食べ物と唾液をよく絡ませる効果も。食べ物の消化を助けるため栄養素の吸収を促し、胃腸にも優しくなる効果があります。

食べ物の味を美味しく感じることが出来る働き

舌の表面には「味蕾(みらい)」という味を感じる細胞があります。唾液の効果で食べ物が分解されるとこの味蕾に味の成分がよく浸透し、味蕾細胞がよく働き、味をしっかり感じることが出来るのです。

お口の動きをスムーズに動かせるようにする働き

日常生活に欠かせない会話や、食事の際に食べ物を飲み込むなどの動きにも唾液が関係しています。唾液によって頬の粘膜や舌などの滑りが良くなるお陰で発音をすることができ、また食べたものを噛み砕いた後スムーズに飲み込むことが出来るのも、唾液が潤滑剤の役割をしてくれるお陰なのです。

お口から侵入する細菌の抗菌・殺菌してくれる働き

口の中には外からたくさんの細菌が入ってきます。唾液の中に含まれる「ラクトフェリン」や「リゾチーム」といった成分によって、細菌がお口の中に感染したり身体の中に侵入しないようにブロックしてくれる役割があるのです。 そして虫歯菌や歯周病菌の活動を抑え、お口の中の細菌をバランスよく保つ管理もしてくれています。

溶かされ始めた歯を修復する働き

食事をすると、歯の表面のカルシウムやリン酸などのミネラル成分が失われてしまいます。この状態を「脱灰(だっかい)」といい、歯の質の溶け始めで初期虫歯の段階でもあります。唾液にはこのカルシウムやリン酸など多くのミネラル成分が含まれているため、歯の表面を修復してくれるのです。これを「再石灰化(さいせっかいか)」といいます。

虫歯菌が出す「酸」を中和する働き

お口の中に常在している虫歯菌は、食べ物が摂り込まれることによってはじめて活動を開始します。特に糖分を好みエサにする際に「酸」を放出します。この酸によって歯が溶かされてしまうのが虫歯なのです。

唾液にはこの酸によって「酸性」に傾いてしまったお口の中を中和し、「中性」の状態に戻してくれる働きがあります。この唾液の中和が上手に働く人は、虫歯になりにくいお口の状態だといえるでしょう。

お口の中の汚れを自然に洗い流す働き

お口の中に残る食べかすや歯垢などの汚れは、唾液によってある程度洗い流される効果が働きます。この作用を「自浄作用(じしょうさよう)」と言います。

お口の中をさまざまな刺激から守る働き

お口の中の粘膜はとてもデリケート。とても薄くて傷つきやすい組織です。その粘膜を常に潤している唾液は、お口の中の乾燥を防ぎつつ粘膜を保護しています。たとえば熱いものや冷たいものなどの温度による刺激や、食べ物や飲み物から受ける酸の科学的な刺激、硬い食べ物や歯ブラシなどの機械的な刺激などから粘膜を守る働きがあります。

3.唾液の分泌が少ないことで起こること

唾液の持つ働きや効果を知ると、唾液が体にとってどれだけ大切なものであるかが解ります。では、分泌が少ないとどんなことが起こるのでしょうか。

虫歯になりやすくなる

唾液が減ることによって、食べ物の刺激も直接受けることになります。そしてお口の中を中和する作用が働きにくくなります。また、再石灰化も効率が悪くなるため、虫歯になりやすいお口の状態になってしまいます。唾液の分泌が極端に少ない就寝中は、1日のうちで最も虫歯菌が繁殖しやすい時間帯です。「寝る前の歯みがきが重要」だと言われるのはこのためなのです。

歯周病が進行しやすくなる

唾液はお口の中の細菌のバランスを保つ作用もあるため、唾液が少ないとコントロールがうまくいかなくなってしまいます。そして虫歯菌だけではなく歯周病菌も増殖しやすくなり、歯周病が進行しやすくなってしまいます。

口内炎ができやすい

唾液の粘膜保護作用がうまく働かないと、さまざまなお口への刺激から守ることが出来ず、粘膜が傷つきやすくなってしまいます。この傷から口内炎を引き起こしやすくなってしまうのです。また、抗菌・殺菌作用も減ることで、口内炎の治りも悪くなってしまいます。

入れ歯がうまく使えなくなる

入れ歯を使用している人は、唾液の現象によってさまざまな弊害を感じることがあります。入れ歯を乗せている歯ぐきの「顎堤(がくてい)」という部分は、唾液によって保護されています。唾液の減少によって入れ歯と歯茎が直接当たって擦れ、炎症や痛みにつながります。また、総入れ歯の場合は特に、歯ぐきと入れ歯の安定は唾液によってなされている要素が大きく、唾液が減ると外れやすくなるという傾向もあります。

口臭が気になる

口臭はお口の中の細菌が関係しています。これをコントロールしている唾液が減少することで細菌が増加し、臭いがが強くなってしまうのです。夜寝ている間は唾液の分泌量が大幅に少なくなります。朝起きた時に口臭を強く感じることがあるのはこのためです。

口腔カンジダ(カビ)を発症してしまうことも

唾液の働きである抗菌・殺菌作用が減ることにより、お口の中のカビ菌の一種である「カンジダ菌」が繁殖してしまうことがあります。これにより歯ぐきや舌が痛んだりする「口腔カンジダ」を発症してしまうこともあるのです。

4.唾液が少なくなる原因とは?

唾液が少なくなることを「ドライマウス」といいます。これにはさまざまな原因があり、原因を知ることで対処できることにも繋がるため、是非知っていただきたいと思います。

薬による副作用

薬がすべてドライマウスにつながる訳ではありませんが、中には唾液の分泌を阻害する副作用を持つ薬があります。たとえば高血圧の薬や精神疾患の薬。また花粉症の薬にも。薬を飲んでいる人で「最近口が渇くな」と気になることがあれば、処方された薬剤師さんに相談して確認してみてください。

食事の際にあまり噛まない

「噛む」という作業によって、唾液腺が刺激されて分泌を促します。そこで、食事の際によく噛まない人は、たくさん噛む人に比べて唾液の分泌量が少ないことが考えられます。このように日常的に噛む回数の少ない人は唾液腺の機能も衰えてしまうため、常時唾液の分泌が少なくなることにも繋がってしまうのです。

口呼吸している

通常、呼吸は鼻でおこなうものです。鼻呼吸であれば、鼻から入った呼気が鼻腔を通すのでお口は唾液で満たされているのですが、何らかの原因により常にお口で呼吸しているとドライマウスになってしまいます。

加齢による減少

唾液の量は年齢とは関係ありません。しかし、「更年期障害」の症状の1つとして、唾液の減少によるドライマウスを訴える方が多くいるため、若い時よりも加齢に伴って減少することにも繋がると考えられます。

心理的要因によるもの

緊張する場面で喉が渇くという人も多いのではないでしょうか?人は緊張状態にあると「交感神経(こうかんしんけい)が優位に働き、これによって唾液の分泌を抑えてしまいます。ストレスなど、緊張を長く抱えるような状態が続くことによってドライマウスになってしまうことがあります。

シェーグレン症候群によるもの

自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)のひとつであるこの病気は、自分の体なのに自分の免疫細胞が誤って攻撃を加えてしまうという病気です。この病気の症状としてドライマウスがあります。 7)X線の影響によるもの ガンの治療などで唾液腺付近に放射線治療をおこなった場合、その影響で唾液腺が破壊されて唾液分泌量が減る後遺症を発症することがあります。

5.どうやって唾液の分泌を促せばよいのでしょうか?

唾液が少なくなる原因に対し、どう対処すればよいのでしょうか。唾液の分泌を促すことが出来る方法などをご紹介します。

唾液腺を刺激することをする

一番良いのは「唾液腺を刺激する」ことです。大きな唾液腺がある3か所あたりを外側から自分の手でマッサージしたり、お口を開けたり閉めたりと顎を動かすなどの運動をするのも良いでしょう。また酸っぱいものを食べたり、想像するだけでも唾液がじわっと湧いてくるので試してみてくださいね。

薬による副作用には…

慢性的な病気によって飲用している薬の場合、ドライマウス解消のために飲むのを止めることはできません。ドライマウスの症状がお薬と関係するかどうか、また他のお薬に変更することは可能かなどを主治医と相談して改善できる部分は取り組んでみましょう。 3)噛む回数を増やすこと 顎を動かすと唾液の分泌を促します。他にも食間にガムを噛んだりして顎を動かし、唾液腺を刺激することも効果的です。

自分の「リラックスポイント」を探しましょう

それぞれに自身のストレスを解消する方法を見つけましょう。「楽しいけど疲れる」というストレス解消法よりは、「リラックス」を意識して副交感神経を優位に働かせることがポイントです。

鼻呼吸に改善する

口呼吸になっている原因があれば治療しましょう。(副鼻腔炎、鼻炎などによるもの) また、原因も無く口呼吸がクセになってしまっているのであれば、鼻呼吸のトレーニングをおこないましょう。意識することも大切ですが無意識の時につい口呼吸になりがち。口テープを活用したり鼻呼吸が基本のヨガで鼻呼吸のクセをつけるのも良いでしょう。

「人工唾液」を有効活用しましょう

更年期障害やシェーグレン症候群など、原因が解明されておらず、根本的な原因の改善が難しい場合は人工的な唾液で補い、症状を改善する方法もあります。また、X線で唾液腺が破壊されてしまった場合も元の状態に戻すことが難しいため、人工唾液を活用しましょう。

6.まとめ

「唾液」について詳しくまとめてみましたが、いかがだったでしょうか?

唾液は歯やお口にとっても、全身的にもとても重要な分泌物であることがお解りいただけたと思います。もしも「唾液が少ないかな?」と感じたら、原因を考えて有効的な対策を試してみましょう。そして日常的に「質」の良い唾液をたくさん分泌できるようにしたいものです。

唾液に関して不安や疑問がある場合は、自己判断せずに歯科医院へ相談されることをおすすめします。また、418プロジェクトでも質の良い唾液を分泌させるためのサポートができるように、さまざまな情報を発信していきたいと思います。

418 編集部

監修:418 編集部

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