お口の健康コラム

思春期に気を付けてほしい!スポーツ飲料で起こる多発性の虫歯を予防しましょう

こんにちは。418編集部 歯科衛生士の江頭です。

前回『神経を抜いたはずの歯がまた痛む?!こんなことってあるの?』というコラムをご紹介しました。※前回のコラムはこちら

虫歯は「出来てしまったら削って埋めれば治る」というものではなく「修理」にしか過ぎないということや、神経を抜くような事態にならないためには幼いころから虫歯予防や生活習慣を整えていただきたいというお話でした。

そこで今回は、私が治療後30年も年経って苦しむことになった虫歯ができた理由についてお話したいと思います。意外と知らない人も多い、スポーツドリンクやイオン飲料での虫歯について詳しくご紹介していきますね。

中学時代に多発した虫歯のお話

私は小学生の頃まで、抜けきれなかった子供の歯の抜歯以外で歯医者さんにお世話になることが無いくらい、健康な歯で過ごしました。ですが、中学2年の時に受けた歯科検診で、奥歯はほぼ全滅といっていいほど虫歯になり、歯医者さんに通うことになりました。

それには、中学生特有の「理由」がちゃんとあったんです!

部活動といえばスポーツ飲料

中学生になって部活動に入るお子さんも多いと思います。今は走るとすぐに息が上がる私も当時は運動部に所属し、毎日汗だくになりながら青春を謳歌した時代がありました(笑)

その頃から、小学生時代には飲まなかった「スポーツ飲料」といわれる飲み物を部活動中によく飲むようになっていました。その頃はまさか、それが虫歯の原因になるなんて考えもせず…。喉の渇きを潤すことと、適度に塩分や甘みもあってお茶よりも飲みやすいため、ほとんどの部活動生は飲んでいたんじゃないかな?と思います。

私が飲んでいた時代は有名なメーカーが2,3種類だったと思いますが、今や成分や用途によって、スポーツ飲料と言ったりイオン飲料と言ったり、さまざまな種類がたくさん販売されています。

これが虫歯の原因だったなんて!!

もちろん、スポーツ飲料やイオン飲料に入っている、宣伝されているような成分は身体に良い作用をもたらせる成分かもしれません。しかし、それだけを摂取できれば良いのですが、これらの飲み物には大量の砂糖が入っています。なぜなら、身体に良い成分だけではまずくて飲みにくいため、飲みやすくするために入れているのです。ということは「水代わり」のように常飲する飲み物として飲んでいると、お口の中は常に砂糖水を浴びているのと同じ状態になってしまいます。

当時の私も、身体を回復させるためやのどの渇きを潤すためにと、休憩中や試合の合間には必ずと言っていいほど、スポーツドリンクを飲んでいました。

これが私の多発した虫歯の大きな要素だったと思いますが、当時は虫歯予防に関する知識を持っていなかったので、「身体に良いもの」と思って常飲してしまっていたんです。

不規則な食生活も関係する

また、中学生になってガラッと環境が変わるのが食生活だと思います。

部活で遅く帰宅してからの夕飯はもちろん、当時お腹がすくので、部活で遠征すれば試合前に甘いものを少し食べるとか、部活帰りに駄菓子屋さんに寄り道。なんてことも多々ありました。

これは部活だけに限ったことではありません。塾で忙しいお子さんも増えていると思います。学校から帰ってオヤツを食べてすぐに塾へ!帰宅は22時過ぎでそれから夕飯。なんて中学生も多いのではないでしょうか?受験の時期、夜遅くに夜食やオヤツを食べるというお子さんもいらっしゃると思います。このような食生活の乱れが虫歯の原因をさらに助長させています。

思春期特有の変化も大きく関わる

また、思春期特有の「ホルモンバランス」も関係します。小学校高学年頃から第二次性徴に入ると、男性ホルモン・女性ホルモンの分泌が増え、お子さんは身体的にも精神的にも大きな変化が起こるという特徴があります。ホルモンバランスが変化すると、唾液の分泌量が減ったり、お口の中の細菌の変化などにも影響することがあるのです。

また、思春期になると親から「仕上げ磨き」してもらうなんてことも無くなるでしょうし、お友達と出かけることも増え、どこで何を食べているか管理することも難しくなります。

このような思春期特有の身体の変化や環境の変化が虫歯や歯周病になりやすい原因になることも十分考えられます。

そこで…思春期はどうしても虫歯のリスクが増えてしまいます

身体やホルモンの変化に環境の変化も重なり、中学生頃からお子さんの口腔管理は親御さんがすることも無くなることもあって、虫歯や歯周病のリスクが急に高くなってしまいます。

私の場合もまさにこれ!!!といった感じで、奥歯はほぼ虫歯になりました。幸い、歯科検診で見つかってすぐに受診したので、神経を抜くほどの虫歯は無くて済みましたが、部分的に修復する銀製の「インレー」という修復物だらけの奥歯になってしまいました。

なぜスポーツドリンクは虫歯になりやすいのか

先ほどお話ししたように、スポーツドリンクには大量の「砂糖」が入っています。とはいえベタベタとくっつく甘いお菓子などはイメージしやすいと思いますが、歯が砂糖まみれになっている感じが無いのも、危機感を感じない要素のひとつではないでしょうか?

飲み物で多発する虫歯のメカニズムを詳しくご紹介しますので、ぜひ参考にしてください!

虫歯発生のメカニズム

虫歯はお口の中に砂糖が入って来ただけでできるわけではありません。甘いものを口にしてもしっかり歯みがきできていれば虫歯は予防することができます。ではなぜ、飲み物が虫歯になりやすいのか…。

お口の中に砂糖が入ってくると、口内に常在している虫歯の原因菌が糖分をエサにして増殖します。そしてその副産物として酸を産出します。この「酸」が歯の表面を溶かしてしまいます。これが虫歯のはじまり「脱灰(だっかい)」です。

お口の中に虫歯の原因菌を持っている人であれば誰でもこの現象が起こるのですが、本来は唾液の働きにより、歯の表面の脱灰は修復され、歯が溶けることはありません。

重要なポイントは「唾液のはたらき」にある

唾液は脱灰した歯の表面を「再石灰化」といって、失われたミネラルを補給して修復することができます。また自浄作用や抗菌作用があり、たくさん分泌することでお口の中を自然に洗い流したり、虫歯の原因菌の活動を抑制してくれる役割もあるのです。

本来この働きがあれば、砂糖を摂取しても自然とお口の中が中和され、脱灰した歯の表面もも自然と修復されます。しかし、唾液の分泌量は成長に伴うホルモン分泌や、生活習慣、ストレスなどに左右されやすく、ちょうど勉強や部活動で忙しくなり、身体の変化も大きい中学生頃に乱れやすくなってしまいます。唾液の分泌量が減ったうえに不規則な食生活をしていれば、虫歯になるリスクはどうしても高くなってしまうのです。

口内の中和作用が間に合わない!

口内は通常「中性」に保たれているのですが、食事をすることで「酸性」になります。口内が酸性である時間が長いと歯の表面のミネラルが奪われてしまい虫歯になりやすくなってしまいます。通常、唾液の働きや歯磨きなどを行えば、食後30分ほどかけてゆっくり中和され中性に戻るのですが、スポーツドリンクを水分補給と称してこまめに摂取していると、口内はずっと酸性のままです。また、夜遅くまで歯磨きできない状況で、食事の時間もまちまちだったり、間食の回数が多いと口内はなかなか中和されないため、虫歯のリスクが高くなってしまいます。

多発性の虫歯になることが多い

そして厄介なことに、飲み物の糖分が原因でできる虫歯は、多発性(ランパントカリエス)といわれる虫歯になりやすい傾向があります。液体ですから、歯と歯の間にも入りやすく、歯の表面が溶けたような広範囲の虫歯になりやすいのです。そして1本だけというよりも全体的なむし歯になるケースも多々あります。

虫歯といえば黒い穴のイメージがある方も多いかもしれませんが、飲み物の虫歯は脱灰して一気に広がるため色が付かずに進行しやすいため気づきにくいです。よーく見ると健康な歯よりもくすんだ白色(白濁)をしている時は、歯の表面が脱灰しているのかもしれません。

 

飲み物の注意点をぜひ知ってください!

虫歯になりやすい飲み物はスポーツ飲料だけではありません。「飲んではダメ」ではないのですが、飲まずに済む方法もあります。また、飲み方や飲んだ後のケアを知っておくと虫歯予防することができますので、飲む機会がある際には思い出してみてくださいね。

スポーツ中の水分補給はどうすればいいの?

できれば水かお茶がベストですが、熱中症対策として塩分やミネラルを補給するのであれば、ご自宅で手作りされるのがおすすめです。とても簡単な材料でできますので、部活で自宅から飲み物持参の分だけでも試してみてくださいね。

<レシピ>参考:豊田裕章:「スポーツドリンク」と「経口補水液」を正しく理解しよう!、小児歯科臨床、21(8)55-60、2016.

➀ペットボトルに500mLの水を入れる

②食塩1.5gを入れる。

③ブドウ糖10gを入れる。(5gのスティックだった場合は2本)

④飲みにくい場合はレモンやグレープフルーツの絞り汁を少し入れると飲みやすくなる

☆下痢がひどい場合には、重曹1g(ふくらし粉)を加える

とても簡単に作れます!ブドウ糖はドラッグストアなどでも簡単に手に入ります。食用の重曹は薬局にありますが、急な発熱時などにも対応できるよう常備しておきましょう。

ちなみに、お茶や水(500ccのペットボトル)に、梅干し1個(中7g)を加えるとほぼ、OS-1のナトリウム量になるそうです。これでもOKです。

日常的な栄養補給のための水分にも注意

よく、離乳食の初期段階でリンゴジュースなどが販売されています。市販のジュースには100%という表記があっても果汁を絞っただけのものを販売しているということはありません。そして、甘い味を最初に覚えると、他の食材を食べないようになることもありますので、「甘味」はできれば最初は控えることをおすすめします。赤ちゃんの水分はお水かお茶から始めましょう。

また、野菜嫌いのお子さんに野菜を摂らせるためにと、毎日野菜ジュースを飲ませているという方はいませんか?野菜ジュースにも糖分が入ったものがほとんどですし、飲むと口内が酸性になるため、常飲していると歯が脱灰を起こします。飲む時には「朝ごはんだけ」と決めたり、飲んだ後は歯磨きやうがいができる時にするとよいですね。

 

子どもたちにどうやって伝えたら効果的?!

私もそうでしたが、思春期に親にあれこれ言われても聞く耳を持ってくれません。スポーツドリンクだって「家から手作り持って行きなさい!」と言っても嫌がるお子さんもいらっしゃると思います。

私が中学生時代を思い返してみると、一番虫歯予防に関心を持てた理由はやはり「プロから指摘された」ということです。歯科医院で歯科医師や歯科衛生士から虫歯の原因を教えてもらい、予防の方法や歯磨きの仕方を教えてもらったことはすんなりと受け入れることができましたし、とても危機感を感じたので行動に移しました。思春期に親の言うことは何でも「イライラの素」になるという時期なのかもしれませんね…。だからこそ、定期検診はとても重要だと感じます。

 

中学生と高校生の子どもを持って思うこと

思春期になったからといって急に「歯医者で歯科検診受けておいで」といったからといって、これまた行ける子であるとは限りません。「めんどくさい」と断れることもあるでしょう。自分から定期検診に行かなくてはと思えるお子さんに成長するためには、『幼いころからの継続的な定期検診』が本当に大切だと身をもって感じています。

現在、我が子は高校生と中学生になり「思春期」の状態です。日常的には思春期ならではの親への態度や反抗も時にはありますが、歯科医院へ定期検診に行くことに関して「めんどくさい」とか「行きたくない」と言ったことはありません。むしろ、しばらく間が開いていると「歯医者行きたいんだけど」と催促してくれるほどです!

また、幼少期から通院している医院であれば、気心知れた先生やスタッフもいて、気さくに接してくれることも嬉しいようです。親の言うことは届かない時期であっても、歯医者さんに行った後は、しっかり歯みがきしている姿を目にして嬉しく思います♪

まとめ

スポーツドリンクや野菜・くだものジュースといった、一見からだに良いと感じる飲み物が、実は虫歯に大きく関わるということ、お解りいただけたでしょうか。

「飲んではダメ」ではなく、「どう飲むか」「飲んだ後どうするか」をまずは意識してみてください。また、思春期を迎えるお子さんが健康意識を高く持ち、自分で虫歯予防できるようになるには、幼いころから定期検診を継続することが本当に大きな効果をもたらせてくれます。虫歯になりやすい時期は幼児期だけではないということなんですね。

幼児期の虫歯予防ももちろん大切ですが、思春期にできやすい虫歯や歯周病を予防することも、大人になってからの虫歯・歯周病リスクを下げてくれる要素になるといっても過言ではありません!思春期を乗り越えお子さんの健口を守るためにも、4カ月~半年に一度は定期検診を受けることをおすすめします♪

ABOUT ME
江頭 小百合(歯科衛生士)
3姉妹の母、歯科衛生士ライターとして活躍中。小児歯科の現場や母親としての経験を活かし、お口の悩みやギモン、歯の健康に大切な情報をみなさんに楽しく・解りやすくお伝えしてもらっています。「418PROJECT」、歯科衛生士スタディグループ「Hygeia(ヒュギエイア)」在籍。