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お口の健康コラム

2次虫歯を放置した結果 神経を抜くことになったお話

こんにちは。418編集部 歯科衛生士の江頭です。

いつもは皆さまに歯科の情報をお伝えする側の私ですが、実は今、お恥ずかしながら2次虫歯が悪化し、神経を抜いた後の治療を続けています。そこでほとほと身に沁みて「歯って大切だな」と思い悔やんでいるところです。しかもその歯、もともとのキッカケは14歳の頃に治療した大昔の虫歯からだったのです!

今回から数回に分けて、私の歯科通院体験をかかせて頂こうと思います。その中でみなさんに、「お口の健康を守ることの大切さ」「子どもの頃の虫歯予防や歯科意識の大切さ」をお伝えできればと思います。まず第1回目は、今治療することになった歯のことからお話します。

2次カリエスは侮れない?

みなさんは「2次カリエス」をご存知ですか?

・カリエス=虫歯のこと

「2次カリエス」は、一度虫歯になった歯が、再度虫歯になることを指します。歯が虫歯になったら、その部分を削って埋めるという流れはご存知の方も多いと思います。実はこれ、「修理」であって「治療」ではないんです。虫歯に侵されてしまった歯質は、削ったあと再生することはありません。なので、削ったあとは人工的な修復材で埋めるか、大きく削った場合には全体を被せて修復することになります。

これが歯の「治療」なんです。

なぜ2次カリエスになるのか

削って修復した人工物(人工歯)自体は虫歯になることはありません。ですが、残っている健康な歯質は虫歯になる可能性があります。銀歯など全体を覆う修復物であっても、修復物と歯根とのつなぎ目から汚れが侵入すれば、中が虫歯になってしまうこともあります。「治療したからもう大丈夫」ではないんです。逆に継ぎ目部分は虫歯になりやすくなりますし、歯質が削られている分神経に近くなっているので、2次カリエスになると悪化しやすいと考えられています。

虫歯は早期発見できれば神経の治療になりません

私は小学生の時まで、虫歯治療で歯科医院に行ったことがありませんでした。それが中学2年生になって、歯科検診で多くの奥歯に虫歯が見つかり、通院することになったのです。(※これについての原因は改めてご紹介します)

奥歯のほとんどが治療になりましたが、幸い神経に達するまでの深さの虫歯は無く、コンポジットレジンとインレーという部分的な修復方法で済みました。

・コンポジットレジン:白いプラスチック素材の詰め物。ペースト状の材料を歯に直接盛り、専用の光照射器で固めて詰める方法です。
・インレー:虫歯を削った後の穴にはめ込み、部分的に埋める金属の詰め物です。

定期検診で2次カリエスを予防できます

大きく削ってクラウンにする歯も、神経を抜かなければならない歯もなく治療を終えられたのは、歯科検診をきっかけに早めの受診をしたからだと思います。また、その後は高校卒業するまで地元の歯科医院に定期検診に通いましたし、歯科衛生士になったこともあり、ずっと定期検診は継続していました。その甲斐あって、治療後28年経っても2次カリエスで困ることはなく、28本すべての歯が「生活歯」という健康なお口の状態で過ごせていました。

・生活歯:神経が存在する歯のこと。虫歯治療で金属が入っていたとしても神経が存在すれば生活歯といいます。

歯と歯の間に違和感を感じるようになる

昨年、右下の6番(通称、6歳臼歯といわれる歯)と手前の歯との間に、よく食べ物が詰まることが気になるようになりました。歯みがきの後デンタルフロスで清掃すると、必ずフロスがほつれます。この時点でまだ痛みはありませんでした。気になっていたものの、痛みもないしフロスをすれば詰まりは取れるので、ここだけは歯みがきのたびにフロスを通すことを意識していたのです。

しかし3か月後…

思えば、違和感を感じてすぐに歯科を受診すればよかったのですが、忙しさを理由に受診せずに過ごしていたときのことです。段々違和感から鈍い痛みを感じるようになりました。ズキンズキンとはしないので、「食べ物が挟まって歯が圧迫されたからかな?」と勝手に判断したのもいけなかったのかもしれません。そうこうしていると痛みがどんどん気になりはじめ、詰まっていない時でも痛むようになりました。

そこで、慌てて歯科を受診することになります。

神経を抜く!?

中学生のときに治療のために歯質を削り、詰め物をしていた奥歯。その歯が、いまさら数十年経って虫歯になろうとは…。詰め物と歯質のすき間から虫歯になり、詰め物の下で広がっていたようです。一度虫歯治療で削った歯は、虫歯のスタート位置がすでに削った場所からはじまるので、神経にすぐに近づいてしまいます。

結局、蓋を開けてみると神経まで虫歯が到達しているということで、私は生まれて初めて神経を抜く治療を受けることになってしまったのです。

長い治療の始まり

神経を抜く治療になると、治療期間は長くなります。

通常の虫歯の治療は→コンポジットレジンを詰める=治療日数1日
虫歯を削る➨ 歯型を採る ➨ 次回被せる=治療日数2日

と、1~2日で済むことが多いのですが、神経を抜くと、約1カ月~1カ月半かかってしまいます。

抜髄の流れ

神経を抜くことを「抜髄(ばつずい)」といいます。神経は歯の中心にあり、主の神経が前歯には1本、奥歯には2~3本ずつあることがほとんどです。

私の場合、6番の歯でしたので3本ありました。まず、2次カリエスを削り、露出した歯髄を「リーマー」という先端がらせん状になっている小さな器具で絡め取ります。通常神経が壊死している場合はおこないませんが、痛みを感じる場合には麻酔下でおこないます。

私の場合も全体に壊死してから抜髄したわけでは無かったので、麻酔してもらって治療を受けました。そのあとは歯根の中に開いた根管と呼ばれる穴に残る細かな神経などを清掃します。細いファイルという様々な形状の細い器具を入れて、ゴシゴシお掃除するので、経験がある方はイメージできると思います。ただ厄介なのは、根管は1回の清掃だけでは十分に細かな神経が取れません。中には出血が続く人、排膿する人もいるので、1週間に1度のペースで根管の清掃と消毒に通わなくてはならないのです。痛みが無くなり、出血・排膿もないきれいな根管になるまでにかかる期間が、1ヶ月~1ヶ月半くらい。そのあと蓋をして、痛みなど再発が無いか様子を見たら、そこから修復物で仕上げるために型取りをするという流れです。

回数で比較すると、1、2回で終われる虫歯治療に比べ、8~10回の通院が必要になると考えられます。私も結局、トータルで2カ月通い治療をおこないました。

今回お伝えしたかったこと

2次カリエスと抜髄についてお話しましたが、どう感じられましたか?

お子さんに置き換えてみれば、まずは虫歯にしないために「虫歯予防」に取り組んで頂きたいと思います。

そして、もしも虫歯になってしまったら「早期治療が大切」だと感じていただけたら嬉しいです。

歯科医院の定期検診を受けましょう!

虫歯を早期発見・早期治療するためには、定期的に口腔内をチェックすること。歯科医院で隅々まで診てもらうことをおすすめします。特にお子さんは虫歯になると進行が速いため、1年に1回しかない「公的歯科検診で虫歯が無かったから」はあてにならないこともあるのです。

ときどき「乳歯はいずれ抜けるから虫歯の治療はしない」という親御さんがいらっしゃいますが、抜髄になるほど深い虫歯になれば、その下に控えている永久歯に悪影響を及ぼすこともあります。たとえ抜け換わる乳歯であっても神経がある健康な状態を保ってあげることが大切なのです。

パパやママも半年に1度は歯科検診を!

大人になると仕事や子育てに追われて、歯医者は後回しという人も多いと思います。特に、子どもの頃に治療した永久歯の被せ物に異常がないか検診するということにあまり意識が行かないのではないでしょうか。修復物は虫歯にならないとはいえ、人工物ですから「経年劣化」することもあります。また、保険適応の銀製の修復物であれば、イオン溶出を起こし、接している歯ぐきの辺縁が変色する原因になることもあります。

私の場合も、フロスが引っかかっていた原因は、経年とともに修復物と歯の境目に小さな歪ができ、そこから細菌が内部に侵入。そして詰め物の下で虫歯が広がっているので気づくのに時間がかかってしまったのだと推測しています。

定期検診に行っていれば、レントゲンを撮って歯と歯の間や内部で何が起こっているのか気づくことができたかもしれないと思うと、今更ですが「後悔」しかありません。

みなさんに私と同じような思いをしていただきたくありません。

ぜひ、大人になっても定期検診は受けていただきたい!と思います。

まとめ

虫歯はれっきとした「病気」です。インフルエンザの予防接種を受けるのは、かかりにくくするためと、かかっても軽症になるためですよね。歯科の定期検診も同じで虫歯予防のためでもあり、もし見つかっても早期発見・早期治療につなげるためです。

虫歯は初期段階で痛みがないため、痛みで受診した場合にはかなり進行しています。自己症状が起こる前に気付くためには、定期検診が有効的なのです。

こどもは3~4カ月に1回、大人は半年に1回の目安で歯科医院に行きましょう♪

 

  • 記事を書いたライター
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江頭 小百合(歯科衛生士)

3姉妹の母、歯科衛生士ライターとして活躍中。小児歯科の現場や母親としての経験を活かし、お口の悩みやギモン、歯の健康に大切な情報をみなさんに楽しく・解りやすくお伝えしてもらっています。「418PROJECT」、歯科衛生士スタディグループ「Hygeia(ヒュギエイア)」在籍。

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