お口の健康コラム

お口の機能を育てるのために日常生活で簡単にできる工夫を取り入れてみませんか?

by 418編集部

こんにちは!418編集部の江頭です。 以前、「お口の機能が整うとこんなメリットがある!「口腔機能」を育てよう!」 という記事を掲載しましたが、ご覧いただけましたでしょうか? お口の機能を向上することが良い歯並びや敷いては全身の健康にも良いと解っていても、実際どうすれば口腔機能を育てることができるの?と思われた方もいらっしゃるでしょう。 口腔機能育成に取り組まれている歯科医院を受診することも方法のひとつですが、今回は日常生活の中でできる、「口腔機能育成につながる工夫」をご紹介したいと思います。

「お口の機能を育てる」ということの大切さ

まず、「お口の機能を育てるって何なの?」というところを簡単にご説明します。 詳しくは前回の記事を参考にされてくださいね。 「お口の機能が整うとこんなメリットがある!「口腔機能」を育てよう!」参照

1.口腔機能って何?

歯が食べものを噛み砕き、舌を使って飲み込むという一連の動作をおこなうためには「口腔機能」を働かせています。これら毎日当たり前のようにおこなっている動作は、さまざまな筋肉の働きや、正しい歯並び・噛み合わせなどが相まってスムーズにおこなわれます。 そこで、口腔機能がうまく働かない部分があると、食べることだけでなく全身の機能や健康にも影響を及ぼすきっかけになることも考えられるのです。

2.「口腔機能育成」とは

お口が関係する「食べる」「話す」「呼吸する」といったような生きるために必要なことを育てることです。 赤ちゃんはママのお腹にいるときから歯を作り始め、誕生してすぐに自発呼吸をして母乳を飲むといった「口腔機能」を使い始めます。そして段々歯が生えはじめ、同時進行で顎も発達していきます。永久歯に生え変わり、顎の成長がある程度完成する時期までどれだけスムーズに口腔機能を育ててあげられるかが大切だということを、多くのパパやママに知っていただきたいと思います。

口腔機能育成っていつから始めたらいいの?

みなさんはお子さんのお口のケアをいつぐらいから始めますか?たいていの親御さんは「歯が生え始めたら歯医者さんにいこうかな。」とお考えでしょう。けれども実は、お口の機能育成は歯が生え始める前からスタートしています。

1.産まれる前からできる口腔機能育成

産後すぐの赤ちゃん全体の13%の割合で、顎の形が狭い状態で産まれる赤ちゃんがいるという研究結果があります。原因は解明されていません。私は、妊娠中のママのお腹の中で育まれる赤ちゃんのさまざまな機能のひとつに「口腔機能」も含まれていると考えています。 たとえばママのお腹の形ってさまざまですよね。赤ちゃんを守るために理想のまぁるいお腹を保つために、昔からママは「腹帯」を巻きます。こうすることで子宮が骨盤の方へ下がりお腹の中が狭く赤ちゃんに苦しい環境になることを防いでくれます。圧迫されたお腹の中の赤ちゃんは、成長過程の中でお顔周辺も圧迫されて成長に支障が出る可能性もあります。 最近ではさらしを巻くことはほとんど無く、骨盤を安定させながらお腹をしっかりホールドするベルトなど、ママのお腹のことを考えられた商品も開発・販売されていますので、ご自身に合った腹帯を使用して赤ちゃんをしっかり育んでいただきたいと思います。

2.0歳から始める口腔機能育成

お口の機能は産まれてすぐから使い始め、日々育成されます。実は歯が生え始める生後6~7ヶ月頃には、これまで母乳やミルクを飲んだり、お口で何かを咥えて遊んだりすることが顎の成長に関わっているのです。上あごをしっかり成長させることがのちの歯並びにも影響します。上あごで乳首を捉えしごき出すために顎と舌をしっかり使う運動になりますし、吸うときに使うお口周辺の筋肉を鍛えることにもつながります。 ミルク育児の方は母乳でないからダメということはありません。お口に合った乳首を使いましょう。あまり楽に吸えるような軟らかすぎるものやゴムが古くなったものは控えるようにしてくださいね。

離乳食期にできる口腔機能育成

離乳食は月齢で進めるのではなく、歯の無い時期(無歯期)から前歯(前歯期)、奥歯(奥歯期)と生えて、すべて生え揃う(完成期)に渡りお口の機能の成長と共に進めていくことをおすすめします。 食べることは栄養補給のためだけでなく、お口の機能を取得しながら機能を育てるためのものでもあるのです。

1.無歯期(0~1歳まえの時期)

まだ歯がありませんので噛むことや舌の運動を促すことは難しいため、この時期は「口唇(くちびる)」をしっかり使うことを意識しましょう。お子さんが上口唇をキュッと閉じながら食べものを捕らえる動きができるようにすることが大切。お口の大きさに合った大きすぎないスプーンで食べ物を口元に運びます。与える人がお口の中にスプーンを突っ込み、お口の中え擦り切るような食べさせ方はNG。自分から捕らえることで唇の筋肉をしっかり使うことができるようになります。 また、この時期はハイハイをしっかりさせてあげましょう。頭をぐっと挙げた姿勢で動くことで、食べるときに欠かせない首周りの筋肉や肩の筋肉を鍛えることができます。

2.前歯期(1歳~1歳半ころ)

上下4本ずつ、合計8本の前歯が生えてくるころになると、口唇で捕らえることに加え「前歯で噛み切る」ということを習得します。この時期はぜひとも「手づかみ食べ」をさせてあげてくださいね。自分の手で食べ物を口に運び、前歯で噛み切ることを繰り返し経験することが、「一口の量」の感覚をつかむ練習です。この経験は脳に記憶され、おとなになってもその人の一口の基準となるといわれている程、実はとても重要なことなのです。 口唇と前歯をしっかり使う食べ方が経験できないとお口周辺の口輪筋(こうりんきん)が十分発達しません。鼻呼吸が身に付かないためお口が緩んでいつもポカーンと開けて息をしているお子さんもいます。手づかみ食べは汚れるからと控えるのではなく、おうちゴハンではぜひ取り入れてあげてくださいね。

3.奥歯期(1歳半~2歳ころ)

奥歯が生えてくると、食べ物をすりつぶして噛み砕くことができるようになります。奥歯はどっしりとした形で噛む圧力を受け止め、歯と歯ぐきをつなぐ歯根膜(しこんまく)を通じて食べ物の硬さや大小を認識できるようになるのです。 この時期はお子さんの噛む力や噛むリズムを身に着けることのできる時期。食べるのに時間がかかるからと小さく刻んであげたり、お皿で切って取り分けてあげたりするのは、この学習の機会を減らしてしまいます。奥歯でしっかり噛むことで顎も上下左右によく運動します。唾液の分泌を促しますし、喉の方へと送り込むために舌も良く動かしますので、舌筋もしっかり働きます。 食材は喉に詰まらせない工夫は必要ですが、ある程度大きいまま食べさせてあげるようにしましょう。

4.完成期(3歳以降)までに口腔機能を育てましょう!

乳歯が生え揃ったら噛む・飲み込む動きが上手にできるようになります。よく噛んで唾液と混ぜ合わせ、舌に乗せて飲み込むのですが、その際舌を上顎の口蓋(こうがい)という凹んだ部分に吸いつけるように挙上する運動が必要です。舌の筋肉が弱い場合この運動が難しいため、お口周辺が緊張してすぼめてしまったりする表情がみられます。 「噛む」という運動は自然に身に付くものではなく、発達段階に応じた食事や身体の運動が育てるものです。食べる時の口元が自然でなかったり、食べる時に口が開いてクチャクチャと音をたてるなどの違和感を感じたら、歯科医院で歯科衛生士に相談してみてはいかがでしょうか。

乳歯が生え揃って以降の歯並びの口腔機能育成は…?

では、すでに乳歯が生え揃った以降のお子さんはどうでしょうか。永久歯に交換し始め、幼稚園や学校の歯科検診で「歯並びに問題あり」といわれてしまって焦っているという親御さんもいらっしゃるでしょう。3歳以降の歯並びは歯科医院で矯正や口腔機能育成を受けるしか治す術はないのでしょうか?

1.お口がポカーンと空いていませんか?

3~4歳になると通常は口唇の筋肉が発達し、口は閉じたまま鼻で呼吸するようになります。けれども口腔機能が十分に発達していないと平常時にお口が開いてしまい口呼吸になりがちです。歯並びや噛み合わせも悪くなりやすく、発音しにくいなどの弊害も起こりやすくなります。 お口周辺の筋肉を鍛えるため、小さいお子さんであれば口をよく使うおもちゃで遊ぶ経験をたくさんさせてあげましょう。(吹き戻しやラッパ、風船を膨らませるなど)幼稚園や小学生くらいになれば「あいうべ体操」などを取り入れるのも効果的です。

2.歯並びが悪いのは矯正でしか治せないの?

乳児期に顎の発達が十分で無かった場合、どうしても歯が並ぶスペースが足りずに歯並びが悪くなってしまいます。確かに正常な歯並びへ完璧に並べることは難しいかも知れませんが、永久歯が生え揃う頃までの顎や歯並びはまだまだ改善の余地があるのです! また、顎の成長を促しながら歯列矯正をする方法もありますが、生活環境や習慣が変わらない生活を送っていたのでは、矯正がスムーズに進まなかったり結局後戻りをしてしまったりする原因にもなりかねません。 お子さんの小さな顎に大きな永久歯が並ぶのですから、一時的に不揃いな並び方になり、顎の成長と共に正しい位置に改善される仕組みが本来備わっています。ですから、口腔機能を育成することで、不正な歯並びを整える効果や矯正をスムーズにおこなえる状態にする効果は十分期待できますよ。

あいうべ体操でお口と身体の健康づくりをしましょう!

口腔機能を育成するだけでなく、機能が向上することによって全身の健康にも繋がるのをご存知ですか?1日にほんの少しの時間で口腔機能育成ができる「あいうべ体操」を取り入れてみましょう。

「あいうべ体操」ってどんなもの?

お口の機能を向上させるためには、口唇や舌の筋力アップが不可欠です。そこでこの「あいうべ体操」をおこなうと、口唇や舌が機能的に刺激され、口呼吸が鼻呼吸に整います。口呼吸による弊害が改善され、アレルギーをはじめとするさまざまな病気にもよい影響をもたらしてくれるともいわれているお顔全体の体操です。 まず最初に「あー」とお口を大きく開きます。眼をしっかり見開くくらい大きく開けましょう。

次に「いー」と口の端と端(口角)を大きく横に引っ張ります。このとき舌が上あごに付いていることを意識して挙上させるようにしましょう。

続いて「うー」と唇をすぼめて強く前に突出させます。これは口の周りの筋肉(口輪筋)を意識しておこないましょう。

最後に「べー」っと舌を突き出して顎の方向へ思いっきり伸ばします。舌の筋肉の運動になりますので、これ以上伸びないという所までしっかり伸ばしましょう。 1つの動作に5秒くらいかけてゆっくりとおこない、1日30セット(約3分間)を目標に取り組むのが理想的です。

まとめ

綺麗に凸凹なく並んでいるだけでは「良い歯並び」とは言い切れず、上下左右しっかり噛み合い且つ綺麗に並んでいる歯並びが理想です。そのためには歯の並びだけ意識するのではなく、歯を正常に並べるための土台作りとして「口腔機能育成」が重要であると考えます。

ママのお腹の中にいる頃から骨格形成は始まりますし、産まれてすぐ母乳を飲み始める時にはまずお口周辺の筋肉やお口の中の機能を使います。

ぜひお子さんの歯が生える前からしっかりお口の機能を使う生活習慣を意識していただければと思います。 また、すでに歯が生え揃っている場合、歯並びが悪い=矯正しなければ治らないと考えるのではなく、まずはお口の状態を歯科で確認してもらい生活習慣の見直しも視野に入れてみましょう。自宅でできる口腔機能育成に良い遊びや体操を取り入れ、日常的に自然な形で口腔機能を向上できる環境を作って頂ければ幸いです。

ABOUT ME
江頭 小百合(歯科衛生士)
3姉妹の母、歯科衛生士ライターとして活躍中。小児歯科の現場や母親としての経験を活かし、お口の悩みやギモン、歯の健康に大切な情報をみなさんに楽しく・解りやすくお伝えしてもらっています。「418PROJECT」、歯科衛生士スタディグループ「Hygeia(ヒュギエイア)」在籍。