お口の健康コラム

妊娠中は時期に合わせてお口との関わりを知っておきましょう

妊娠中は、つい身体の変化や赤ちゃんの成長具合ばかり気にしてしまいがちですが、「健康への入り口」とも言われているお口との関わりも切っても切り離せません!
妊娠中の時期別に起こるトラブルやその対処法などをご紹介します。ぜひ参考にご覧ください。

妊娠初期 1~4 ヶ月(~16 週未満)

大事な「器官形成期」です

赤ちゃんの顔など様々な器官が母体内で形成されるとても大切な時期です。
この時期は切迫流産の危険が高い時期でもあります。
お口に関しては緊急を要する以外は治療は控え、応急処置に留めることが望ましいでしょう。

切迫流産に注意

原因はざまざまで、はっきり断定はできませんが、ひとつの原因として考えられるのがつわりの長期化といわれています。
つわりが長期化すると母体・胎児に栄養が十分に摂取されず、母子ともに栄養失調の状態が続きます。

栄養管理上の注意点

脂肪の多い食品や食塩の摂りすぎに気をつけて下さい。

まずは母体を第一に!

つわりがひどく、赤ちゃんに栄養が届いているか心配する妊婦さんも多いですが、この頃の赤ちゃんはまだ小さく、赤ちゃんの成長に必要な栄養はお母さんよりも赤ちゃんに優先されているので心配しすぎなくて大丈夫です。嘔吐をくり返している場合には脱水症状にならないようこまめな水分補給をして下さい。
冷たい飲み物や、みかん、グレープフルーツといった酸味のあるもの、ヨーグルトなどのどごしの良いものなどがおすすめです。

妊娠中期 5~8 ヶ月(~28 週未満)

この頃になると徐々につわりも落ち着いてきます。
母体、胎児共に問題なく過ごせていれば、この時期に妊産婦歯科検診を受けるのがよいでしょう。レントゲンやお薬も必要最低限であれば可能な時期にあたります。

いわゆる「安定期」といわれる時期です

「赤ちゃんのために2人分食べなきゃ!」は間違い!
妊娠中期はつわりもおさまり食欲が出始めます。ここで食欲にまかせて食べすぎてしまうことには注意しましょう。理想はバランスの良い食事。おすすめは和食中心です。
体重増加し過ぎると、妊娠性糖尿病の原因になることもあります。糖尿病と歯周病は相互に関係性があるため、どちらも注意が必要です。

妊娠後期 9 ヶ月(28 週以降~)

お母さんのお腹も大きくなり、仰向けの体勢も辛く、お腹の張りは早産の危険もあります。この期間にどうしても治療やメインテナンスが必要な場合はイスを倒しすぎないなど細心の注意が必要です。
ですから、できれば妊娠中期までに通院が終わることが理想です。

いつ生まれてもおかしくない時期です

胎児が大きくなってくると、胃が圧迫されて一度にたくさんの量を食べることが出来なくなります。食事に関しては無理をせず、1日に必要な量を何回かに分けて食べましょう。

姿勢の変化

お腹が大きくなってくると、体の重心バランスが崩れてきます。反り腰になりやすくなることから腰痛を起こすことがあることは知られていますが、実は噛み合わせがズレることもあるのです。
お腹が大きくなってから、噛んだ時に痛みが生じるようになったと感じた場合には、早めに歯医者さんに相談しましょう。

まとめ

妊娠中の身体の変化は、お母さんにとってとても大変に感じることもあると思います。
しかし産後の方が子育てに忙しくなり、赤ちゃんを連れて通院が難しいなど、歯科受診しづらくなります。お母さんの口腔環境が悪いと、赤ちゃんのお口に母子感染し、赤ちゃんも虫歯になりやすい口腔環境になってしまうことがあるのです。
お口を健康に保って出産に臨むことは、産後の口腔環境にも良い効果を生みます。
お母さんの身体の調子の良い時に、ぜひ歯科受診されてくださいね。

ABOUT ME
山下宗 (歯科医師)
お口の健康は10年後、20年後…とずっと先の将来まで見据えて、予防、健康維持をしていかなければなりません。 長い付き合いになるからこそ、みなさんにはより良い知識をつけていただきたいと思っております。 お口の健康を守るためには、歯医者さんで行うメインテナンスが大切です。また、それ以上に重要なのが、正しい歯磨きや規則正しい食生活をはじめとした「健康的なお口を育む日常生活」を送ることです。日常のお口のケアについてもアドバイスさせていただきます。 私たちと一緒に、おいしく食事を食べられるお口の環境を守っていきましょう。 お口のことで悩みごとがありましたら、お気軽にご相談ください。