少しでもむし歯になる危険を回避できるように、正しい歯磨きの方法を身に付けて素敵な笑顔で過ごしましょう。
1.正しい歯磨き習慣が健康なお口を作る
歯磨きの目的は歯垢(プラーク)を取り除くことです。歯磨きできれいに汚れが落とせれば、むし歯の予防が出来ます。むし歯が原因で偏った噛み癖がつき、噛み癖があることで歯並びが悪くなってしまうとも言われています。 また、歯並びが悪くなることで歯磨きが難しく、磨き残しが新たにむし歯を作ってしまうという悪循環も起こります。そして、健康な歯でしっかり食事をすることが全身の健康にもつながるという効果もあります。ですから、大人の歯が生える前の幼児期の正しい歯磨き方法を知るのはとても大切なんですね。
むし歯予防の方法はいろいろありますが、やはり汚れを落として歯を綺麗にすることは必須条件です。ここでは、仕上げ磨きの体勢・歯を磨く順番・必ず磨いてほしい場所・歯磨きのポイント・うがいをする時の注意点を伝えていきます。
2.歯磨きをするうえで気をつけるポイント
一生懸命歯磨きをしているのに、汚れが落ちていない・・・なんて思ったことはありませんか? 磨き方によっては汚れが落ちずに残ってしまうこともよくあることです。ポイントを押さえてしまえば、汚れはきちんと落とせますので確認してみてください。
力加減
正しい歯磨きの力の入れ方は、毛先が潰れない位の力=150gくらいと言われています。 力を入れて、ゴシゴシ磨いても汚れは落ちません。力を入れすぎると、開いた毛先が歯肉に当たり、痛みから歯磨き嫌いの原因になることもあるので注意しましょう。
持ち方
ペングリップといってペンを持つように歯ブラシを持ちます。このように持つことで、必要以上の力が入りにくく、細かい動きのコントロールが出来ます。
動かし方
幅5~10㎜くらいを目安に、20回ほど小刻みにブラシを動かし歯を1~2本づつ磨きます。ブラシを小刻みに動かすほうが狭い隙間にも毛先が入り込みやすくなります。
特に、下の奥歯の内側は舌があるためとても磨きにくく、歯垢(プラーク)が残りやすい場所です。細かく動かしながら、少しずつ奥の方へ動かしていきましょう。
ブラシの当て方
歯面に対して、歯ブラシの毛先を90°に当てます。 歯並びがガタガタしている場所は、1本1本その向きに合わせて90°で当たるように歯ブラシの角度を変えます。
「磨きたいところにしっかりと歯ブラシの毛先を当てる」ことが基本です。
3.仕上げ磨きで大切なこと
「自分で!」という主張が出てくる1才以降は、自分で磨かせることが歯磨きの習慣づけに役立つので見守りながらやらせてあげましょう。しかし、子どもが自分で歯の汚れを落とせるようになるのは、一般的に6才以降といわれていますので、それまでは大人の仕上げ磨きが必要です。スムーズに効率よく行うために大切なことをいくつかお伝えしていきます。
1.仕上げ磨きの体勢
基本的には子どもの口の中が見えやすい位置で、子どもの頭が固定される体勢で行います。汚れがついている箇所やブラシがきちんと当たっているかの確認が出来ることが重要です。
幼児期前半(1~3歳)までは「寝かせ磨き」
・正座をした脚のモモの辺りで子どもを仰向けに寝かせ、頭を固定します。
・覗き込んだときに、子どもの口の中がよく見える位置がベストです。
注意点:ひざの辺りで寝かせてしまうと、口の中が見えづらく上手く磨けません。
幼児期後半(4~6歳)「立たせ後ろ磨き」(スターキーズポジション)
・大人は膝立ち、子どもは 立った状態で、後ろから抱きつくような姿勢になります。
・歯ブラシを持っていない方の手で顎を支え、口の中が見えやすいように少し天井を見上げるように顔を上げて歯を磨きます。 あくまでも目安なので、年齢にとらわれることなく2歳でも子どもが寝るのを嫌がれば「立たせ後ろ磨き」で磨いても構いませんし、年齢があがっても「寝かせ磨き」で磨いても構いません。 大人も子どもも楽な姿勢で行い、口の中を確認しつつきれいに磨けることが大切です。子どもを椅子に座らせると安定して楽な姿勢で磨けるかもしれませんね。いろいろ工夫してみてください。
2.歯を磨く順番
歯を磨く順番を決めて磨くようにしましょう。 あちらこちらと順番を決めないで磨くと、磨き残しの原因になります。
一例ですのでどの順番で磨いても構いません。親子でコミュニケーションをとりながら一緒に決めると楽しいですね。決めた順番で、これから下記で説明する3箇所をポイントに磨きましょう。
3.必ず磨いてほしい場所
「 必ず磨いてほしい場所=むし歯になりやすい場所」です。じっとしているのが苦手な子どもの歯磨きは、大人も子どもも大変です。重要なところは逃さずに、効率よく効果的な歯磨きが必要ですね。 これから紹介する、「1)歯と歯肉の境目」「2)噛む面」「3)歯と歯の間」の3箇所を忘れずに磨きましょう。
歯と歯肉の境目
歯垢(プラーク)が付きやすく、口唇やほっぺたが邪魔をして磨き残しの多い場所でもあります。
<磨き方>
1.歯ブラシを持っていない手の人差し指の腹で、上の唇を持ち上げます。
2.歯の根元が見えたら、歯ブラシの毛先を歯面に対して90°に当てて、小刻みに動かして磨きます。
注意点:ブラシが当たると痛いので歯磨き嫌いのきっかけになります。必ず上口唇と歯肉を繋いでいるスジを指でカバーしましょう。
噛む面
奥歯は噛む面に溝があります。この溝に物が詰まりやすく、歯ブラシが届きにくい場所です。
<磨き方>
歯ブラシの毛先が溝に入るようにしっかりと当て、微振動で丁寧に磨きます。
歯と歯のすき間・接触している部分
隙間が狭いため、歯ブラシの毛先が届きにくく、歯垢(プラーク)が停滞しやすいところです。 使い方が難しいとか子どもが嫌がるなどフロスは苦手と思われるかもしれません。しかし、歯と歯の間のむし歯を予防するためには重要です。最初は子どもの機嫌が良い時や、時間に余裕のある時に行い、大人も子どもも少しづつ慣れていきましょう。
<磨き方>
・フロスを使います。
・ノコギリのように前後、または左右に数回動かしながらゆっくり隙間に入れていきます。
・フロスを通した2本の歯の側面に、それぞれフロスを優しく押し当て汚れをからめて落とします。
・歯と歯の間が広い場合は、歯ブラシの毛先を隙間に入れて、側面を磨きます。
注意点:
・力ずくで歯と歯の間にフロスを入れようとすると、勢いで歯肉を傷つけてしまうことがあります。
・歯と歯の間にフロスを通しただけでは汚れは落ちません。歯面にフロスを沿わせることが大切です。
4.うがいをする時の注意点
うがいが出来るようになると、フッ素入りの歯磨き剤を使用するお子さんもいらっしゃいますね。
しかし、何回も口に水を含みうがいをしていませんか?
フッ素は口の中(歯の表面)にとどめておくことで、よりその効果が期待できます。何度もゆすいでしまっては、口の中にあるフッ素を全て吐き出してしまうことになり、効果が減少してしまいます。
<正しいうがいの方法> 少量の水(10〜15ml程度)を口の中に含み、「ブクブクブク」と1回だけゆすぎます。
まとめ
むし歯を予防するには歯磨きが不可欠です。生活習慣の一つである歯磨きは、幼児期後半までには身に付けたいものです。ひとりでは上手に歯磨きが出来ない子どもの口の健康を守るのは大人の役目です。そのためにも、まずは大人が正しい歯磨きの知識を身に付けることが大切です。そして口の健康から全身の健康へと繋げていきましょう。