最近のお子さんの歯並びは、上下の歯をかみ合わせたときに上の歯列で下の歯がすっぽり隠れてみえなくなる形状や、歯がしっかり詰まって並んでいるお子さんが増えています。歯の並び自体は整っているため不正咬合だと気づかれないことが多いのですが、この状態は決して当たり前ではなく良い状況でもないということを知っていただきたいと思います。
過蓋咬合(かがいこうごう)という不正歯列です
「過蓋咬合」と呼ばれるこの不正咬合は上下の顎の位置関係がずれてしまっている状態で、今お子さんたちに一番多く見られる歯並びです。
過蓋咬合とはどんな状態?
上あごが下に伸びてきてしまい、下あごが喉の方側に下がってしまうため、噛み合わせたとき下の歯が隠れてしまうのです。上下のあごがずれていると、上あごがどんどん伸びてしまう恐れや、下がった下あごが気道を狭くしてしまう恐れもあります。
原因は…?
この噛み合わせの一番の原因は、平常時でもお口を閉じることができず「ポカーン」と開けて口で呼吸していることが要因となります。
過蓋咬合による影響
過蓋咬合は見た目に不正咬合と解りづらいのですが、生活の中で悪影響として現れる例をご紹介します。
慢性的な体の不具合
口呼吸をしていると慢性的に鼻炎や扁桃炎などを起こしやすく、ぜんそくやアレルギーの要因にもなると考えられています。
寝ている時
筋力の弱さからいびきをかきやすくなったり、良質な睡眠がとれないことから歯ぎしりや寝相の悪さ、おねしょなどを起こすこともあります。
ご飯の食べ方
口を閉じて噛むことができないため、くちゃくちゃと音を立ててしまう傾向があります。また、噛めない=早食いになることで肥満になったり、遅食いから成長不振になったりという影響もあります。
口腔機能を育成すると改善することもあります!
「口腔機能」は、お口周辺の骨や筋肉が本来持つべき機能のことです。人間は生後すぐから母乳を飲むことから始まり、食物を捕らえて噛み切りすり潰して飲み込む運動を通して、お口周辺の成長もおこないます。本来自然と身についていくべきこの機能が、最近では食の欧米化などによって退化傾向にあり、歯が並ぶための歯列が狭く順当に並びません。また、口周辺や舌の筋肉が弱く鼻呼吸ができないことは、歯並びを悪くするだけでなく全身の不健康を招いてしまうこともあります。
日常できることから始めてみませんか?
「噛めないから噛める食事にする」のではなく「噛めるように訓練する」ことや、口の筋肉をしっかり使える遊びを取りいれることで、顎は正しく成長し歯並びも動きます。できるだけ矯正力に頼らず、自分の力で骨格や歯並びを改善したいものです。
気づいたらできるだけ早く改善に取り組みましょう
口腔機能は成長期のお子さんであれば、まだ早期に改善することができます。お口の正しい使い方を実践するためにも、ぜひ口腔機能育成に取り組んでいる歯科医院に相談してみてくださいね。