なぜ歯磨きが必要なの?
歯に付いた汚れを放置しておくとさまざまは病気につながるからです。
ヒトが食物を摂取すると、お口の中にいる虫歯や歯周病の原因菌の活動が活発になります。
まず、虫歯の原因菌が食物の中の糖分をエサにして分解する際に出す酸によって歯垢(しこう)が形成されます。歯垢は、本来は歯の表面を酸から守るために覆っている「ペリクル」という被膜を媒介して張り付いてしまい、歯垢の中で菌がどんどん増殖してしまうのです。
そこで歯磨きを施すことによって、歯垢を除去し歯が酸で溶かされることを予防する役割があります。
もしも歯磨きをしなかったらどうなってしまうのでしょうか。
歯垢がどんどん蓄積し、その中で虫歯の原因菌や歯周病の原因菌が増殖してしまいます。そして歯垢が付着している歯は虫歯になりやすくなり、歯ぐきは炎症を起こして歯肉炎を発症することにもつながります。
また、歯磨きは汚れを落とす効果だけではなく、歯ぐきのマッサージ効果も期待でき、歯肉炎を発症してしまった歯ぐきのケアや引き締め効果もあります。
歯の汚れを落とすという作用だけではありませんので、しっかりと正しい歯磨きを習慣化していただきたいと思います。
歯磨きを習慣にするにはどうすればいいですか?
習慣化につながるような「動機づけ」になることを取り入れてみましょう。
歯磨きを習慣にするためには「子どもの頃」に習慣化することが一番です。
お子さんの歯磨き嫌いを解消するには、歯が生える前から歯ブラシでお口を触り、お口に何かが入ることへの抵抗感を少なくする訓練から始めます。その後、「朝起きたら」「ご飯をたべたら」「お風呂の時」「夜寝る前」といったように、何かのきっかけで歯みがきするという習慣を身に付ければ習慣化しやすくなります。子どもの頃に身に付いた習慣は、大人になっても続くという人も多いのです。もしも時期を逃してしまった!という方には、習慣化するためのヒントをご紹介したいと思います。
何事も楽しんで始めることが大切です。
お気に入りの色の歯ブラシや好きなフレーバーの歯磨き粉など、まずは、自分が「歯磨きしたい」と思えるようなお気に入りのグッズを揃えてみましょう。 また、歯科医院を受診するのもよいきっかけになりますよ。お口の検診を受け、自分の今のお口の状態を知ることで、歯磨きをしないと起こるトラブルや、すでに起こしているトラブルなどがわかります。歯科衛生士による歯磨き指導も受けることができますので、正しい歯磨き法を学ぶことができ、「トラブル予防や解消のためにしっかり歯みがきしなくては」という意識づけにもなります。
歯磨きしたら印を入れる「記録表」を活用するのもよいでしょう。
お子さんなら歯磨きできたらシールを貼る表なども動機づけによいですし、大人の方であれば手帳やカレンダーに印を付けるというだけでも十分です。 自分が「歯磨きするんだった!」と気づく動機となることをぜひ見つけてみてくださいね。
歯ブラシはどのようなものがいいでしょうか?
自分のお口や用途に合わせて選ぶようにしましょう。
歯ブラシを選ぶ時、ついつい色やデザイン、お値段の安さなどで選んでいませんか?
毎日使うものですから、効果的な歯磨きをするためには自分のお口に合ったものを選ぶことが大切なのです。間違った歯ブラシ選びをしてしまうと、逆に磨き残しをしてしまう原因になったり、歯ぐきを傷つけてしまうことにもなってしまいます。
「虫歯予防のため」「歯周病予防のため」といったようにお口の悩みに合わせたり、お口の大きさ、歯の大きさに合わせて最適な歯ブラシを選択しましょう。
まず基本的な歯ブラシの形状としては、シンプルで持ちやすいストレートハンドルのもので、毛先はラウンドカットの水平なもので無駄のないコンパクトなヘッドのものをおすすめします。
時々、把持するのに合わせたハンドルといってカーブしているものや、毛先が平たんではなくギザギザにカットしているような製品もみられます。しかしこれらはそこで握った状態の角度でしか使用しにくいですし、ギザギザに合わせて丁度良い場所にはしっかり歯面に当たるかもしれませんが、歯並びが悪い部分などでは逆に届きにくいということになってしまいます。お口の中で上下左右に自由な動きをするには、持ち替えやすいストレートハンドルで、細かな部分にまで毛先が届きやすいようにコンパクトなヘッドのものが適しているのです。
また、虫歯予防に関しては基本的に「ふつう」と表記された硬さで大丈夫ですが、歯ぐきが弱っている歯周病の方は「やわらかめ」がおすすめ。「かため」はしっかり磨ける気がしますが、歯磨き圧の強い人が使用すると、歯ぐきを傷つけてしまう原因にもなりますので注意しましょう。
歯磨きは一日何回必要ですか?
決まった回数はありません。歯磨きは食事の回数ごとにおこなうのが理想的です。
歯磨きの必要な回数に決まりはりません。歯磨きをきちんと1日3回おこなっているのに虫歯になるとい人もいれば、1回しかしていないけど虫歯にならないという人もいらっしゃいます。
しいて言えば、歯磨きをするタイミングとして、食事をした後30分程度経過したころが最適なタイミングだと言われていますので、食事回数が1日に必要な歯磨きの回数ということになるでしょう。 歯磨きにとって大切なのは、歯が酸によって溶かされてしまうことを防ぐことにありますので、極端な話1日1回の歯磨きであってもしっかり歯垢を落とす正しい歯磨きをされていれば虫歯予防に十分つながります。 もしも毎食後歯磨きをすることが困難な場合は、1日のうちで夜寝る前の歯磨きを一番入念におこなうことをおすすめします。
就寝中は唾液の分泌が極端に減り、自分でお口の中を浄化する「自浄作用(じじょうさよう)」が働きにくい時間帯です。ですから、寝ている間が虫歯菌が一番活発に活動する時間帯であるともいえます。 このタイミングに歯垢がたくさん残ったままであることが、虫歯を増やす原因のひとつにもなりますので、日中に溜まった汚れを次の日に持ち越さないよう、夜寝る前にしっかり歯みがきすることを心掛けてみてくださいね。
歯ブラシはどのくらいで交換したらよいですか?
目安は1ヶ月に1回の交換です。毛先が開いてしまったらすぐに交換しましょう。
歯を清潔に保ち、虫歯予防をするためには、歯磨きは欠かせない生活習慣のひとつです。
自分では「まだ使える」と思っている歯ブラシでも、実は効率が悪くなっていて、汚れをしっかり落とすことができなくなっているかもしれないのです。 歯ブラシには交換時期の目安があり、1日3回歯磨きしたとして約1ヶ月の寿命だといわれています。そこで、歯ブラシは1ヶ月に1回の目安で交換することをおすすめします。見た目はまだ使えそうでも、毛先は汚れを落とす能力が低下しているのです。 もしくは、歯ブラシを後ろから見たとき、毛先が広がってはみ出ていたら交換したほうがよい状態です。この状態で使い続けると、汚れがしっかり落とせませんし、毛先で歯ぐきを傷つけてしまう原因にもなります。
たとえ1ヶ月未満であっても交換するようにしましょう。
歯ブラシの毛先には、いくら丁寧に洗ったとしても雑菌がのこってしまいます。 時間が経過すればするだけ雑菌が増殖してしまい、汚れを落とす道具のはずが衛生的にあまりよくない道具で歯磨きすることになりますよね。そう考えると、歯ブラシはできるだけこまめに交換することをおすすめします。