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お口の健康コラム

どうしていますか? 思春期を迎えたお子さんの口腔ケアや虫歯予防

by 418編集部

夏休みに入り、暑い日が続いておりますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか? うちの長女は中学生で、夏休みといっても毎日朝早くから学校へ出向き、遅くまで部活に汗を流しています。 そして思います…。 この「思春期」といわれる年齢の時期の夏って虫歯急増しやすいんだったなぁ。 今回は、これまでご紹介してきたコラム等の対象としているお子さんの年齢からもう少し上のお子さん。 そう!パパやママの言うことにちょっと背きたくなってくる年齢のお子さんのお口のケアに困っているパパさんやママさんはいませんか? 今回は私の経験も踏まえ、お子さんと口腔ケアの関わり方をお話しします。 

歯磨き、嫌がり始めたら…?

我が子、上の子は親と関わることを恥ずかしいと感じるのが早めで、小学校5年生の中頃くらいから仕上げみがきをさせてくれなくなりました。自分で磨くのも、ちゃんと磨いているんだか、とても短い時間でササッと終わらせているようでした。みなさんのお子さんはいかがですか?

1.思春期による当たり前の行動なんです!

子供の成長過程として「思春期」は必ず通る道です。個人差はありますが、たいてい12、13歳ころから始まって18、19歳くらいまで続くことが多いようです。親の言うことに従うことがめんどくさく感じたり鬱陶しいと感じやすくなります。

2.お口の環境の変化と同じ時期に…

成長の過程だから、いつか終わるから…とはいえ、この時期お口の状態でいえばさまざまな変化が生じる時期と重なっています。 思春期だからと放っておくと、この時期にさまざまなお口のトラブルを起こしてしまったり、それがきっかけで大人になってもお口のトラブルと付き合っていかなければならない事態となる恐れもあるのです。

思春期の口腔ケアを考えましょう

平成28年に厚生労働省がおこなった「歯疾患実態調査」によれば、15歳から19歳で虫歯を発症している割合は47.1%でした。5年前の調査までに比べれば減少傾向にあるとはいえ、5歳から9歳までが8.2%、10歳から14歳までが19.7%と考えると、15歳頃から急に割合が増えていることがわかります。 また、思春期特有の身体の変化が起こる時期というのは周知されていますが、歯肉炎になりやすい時期であるということを知らない人も多いでしょう。歯肉炎を含む歯周病は高齢者の病気のイメージですが、15歳から19歳の約70%は歯肉炎だともいわれています。調査結果の中でも、4㎜以上の歯周ポケット(歯と歯ぐきの隙間のこと)がある15歳から24歳は17.6%であり、過去の調査では一桁台だった数値が、この5年で一気に増えていることが解ります。 近年の青年たちの生活環境や食生活が大きく変化していることが関係しているのかもしれません。だからこそこの時期の口腔ケアはとても大切だということを、多くの方に知っていただきたいと思います。

参考:平成28年年歯科疾患実態調査結果の概要 https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10804000-Iseikyoku-Shikahokenka/0000174751.pdf

思春期の口腔内の起こる変化を知りましょう

では、思春期のお子さんのお口には、具体的にどのようなことが起こるのでしょうか。12歳前後(小学校5、6年)から15歳(中学3年生)ころを前期、それ以降を後期として考えてみました。

1.思春期前期のお口の変化に伴う虫歯の多発

このころは、乳歯から永久歯にすべて抜け変わり、親知らず以外の28本の永久歯が揃います。そして、乳歯が生え揃ったころに続いて虫歯が多発しやすい第2期ともいえます。 成長期で食べる量や回数が増えることや、塾や習い事のために食事が不規則になりがちなうえ、仕上げ磨きをせず本人任せな歯磨きになることなどが関係していると考えられます。

2.思春期前期は虫歯の進行が速い

歯の表面を守るべきエナメル質組織は、唾液の成分やフッ素などを摂り込み徐々に歯質を強化します。この時期の永久歯は、生えたばかりでまだ歯質が粗造です。一度虫歯が始まってしまうと進行が速い特徴があります。そのような時期に思春期にありがちな環境の変化と相まって、虫歯が進行しやすくなってしまうのです。

3.思春期後半はホルモン分泌の変化も関係?!

思春期後半(16歳以降)になると、食生活の変化や乱れは引き続き注意が必要ですが、さらにホルモン分泌の不調和が関係してきます。特に女性は性ホルモンの分泌が活発になり、歯茎からの浸出液などにも含まれるようになると考えられています。このホルモンは口の中の歯周病の原因菌が栄養源として好むホルモンといわれており、歯周病菌が増加して歯周病発症率が高くなりやすいのです。

思春期に口腔ケアのできるお子さんになるためにできること

多感な時期と表現される思春期は、ヒトが成長するうえでとても重要な時期ですが、お口にとってはとても難しい時期だといえます。しかし、この時期であっても、日常生活で気を付けることのポイントを押さえておけば症状を予防したり改善することができます。思春期のお子さんのお口のケア、どう進めていくのか考えてみましょう。

1.野菜や果物をしっかり摂取する

野菜や果物のような食物繊維といわれる食べ物は、食事の際にお口の中を自然に清掃してくれる「自浄作用」が働きます。また、インスタント食品やスナック菓子などを多く摂る場合栄養バランスが乱れてしまうため、家庭で食事を摂ることが多い時間帯の食事だけでもしっかり摂取できるようにしてあげたいものです。我が家では朝ごはんにフルーツやサラダを出すように心がけていますよ。

2.しっかり噛める食事を!

思春期の頃は友人と外で食事をしたり、不規則な時間帯に食事をすることが増えてしまいます。家で食事をする際には、「しっかり噛める」ことを意識した献立作りを意識してみてください。しっかり噛んで歯茎や骨に刺激を与えることはもちろん、よく噛むことで唾液の分泌を促し、唾液のさまざまな効用によって虫歯や歯周病の予防にもつながります。 私も思春期真っ只中の娘が2人います。日々の献立の中でレンコンやごぼうなどの根菜類、繊維質の食物を日々の食事に取り入れることを心掛けたり、具材ひとつひとつをできるだけ大き目に切るなどの工夫を心掛けています。

3.食後の歯磨きができない時は…

学校や部活、習い事や塾など、忙しい現代の思春期の若者。食事も合い間にササッとたべるお子さんも多く、歯ブラシでしっかり歯みがきの時間をつくることも難しいお子さんが増えています。私が子供たちに常日頃心掛けて伝えているのは、「歯磨き出来ないときは水を飲んでね」ということです。お口の中の食物残渣を洗い流したり、酸性に傾いた口内を中和する効果もあります。

4.スポーツドリンクに注意!

思春期の時期には、運動系の習いごとや部活動などで水分補給にイオン飲料を常飲しているということもあるでしょう。熱中症対策としてこまめに水分を摂取することが推奨されていますが、あくまでも水や麦茶が望ましいです。イオン飲料は体に必要なミネラル等だけ摂取する訳ではなく、糖分もたくさん入っています。多量の糖分を1日ダラダラと摂取していれば、虫歯多発のリスクは高くなってしまいます。

5.ストレスを溜めないようにする

精神的ストレスは思春期性の歯肉炎に大きく関与していると考えられています。ストレスで唾液の分泌量が減少し、虫歯や口臭の原因にもなってしまいます。現代の子供たちは余暇が少なく、ストレスを溜めやすい環境にあるのかもしれません。適度に好きなことに没頭できる時間はとても大切。親から見て気になることでも、お子さんにとってそれがストレス解消法となっているということもあるでしょう。温かく見守ってあげる気持ちも大切なんですね。

思春期のお子さんのやる気を引き出す工夫ってある?

わかっていても接するのが難しい思春期。「歯磨きしたの?」「ちゃんと磨いた?」と聞かれて嫌がるおこさんも多いようです。 そこで一番良いのは「お子さん自身が自ら口腔ケアに興味を持つように導いてあげる」ということです。

歯科医院を上手に活用してください!

親にいわれると煩わしいことでも、他人にいわれると素直に聞くというお子さんも多いようです。まずモチベーションアップにつなげるためには歯科医院で検診を受けることをオススメします。 歯科医院では歯科衛生士が現状の口腔内の状態をお伝えし、歯磨きの仕方や虫歯、歯肉炎などについてお子さんに直接指導してくれますよ。 我が子も「一番奥の歯に歯ブラシが届いてなくて歯ぐきが少し腫れてるから、歯ブラシすこし立てて磨くと良いんだって!」と得意気に話してくれました。 そこで、もし知っている情報だったとしても「ほらね、お母さんが言ってたでしょ」などとはいわずに「すごいね!」とほめてあげてくださいね。

オーラルグッズを話題にしてみませんか?

最近では歯ブラシや歯磨き剤だけでなく、さまざまなオーラルケアグッズが販売されています。可愛らしいデザインやパッケージのものも多く、特に思春期女子が好きなキャラクターを起用したものやキラキラデザインのものも豊富です。また、さまざまなフレーバーの製品展開などがみられ、お子さんの好みに合わせて一緒に選ぶのも良いですね。歯ブラシの交換の目安は約1ヶ月といわれていますので、買い替えの時期に話題作りにしてみてはいかがでしょうか。まずは「道具から入る」というのもキッカケつくりややる気を引き出すために活用してみてくださいね。

「それなに?」と興味を惹く行動を

お子さんにいうだけでなく、パパさんママさん自身がオーラルケア、楽しく取り組まれていますか?歯磨きのためのケアグッズはたくさんあり、用途もさまざまです。 *『毎日の歯磨きに「清掃補助具」を取り入れて虫歯予防効果をアップさせましょう!』参照 最近では「ながらスマホ」などという言葉がありますが、「ながら歯磨き」もぜひやってみてください。歯みがきしながらテレビを観る。歯みがきしながらお風呂に入るなど…。歯磨きを身近な日常生活の中に取り入れてみてください。また、デンタルフロスや洗口液などのオーラルケアグッズを活用されていれば、お子さんは自然と「これ何に使うの?」と興味を持ってくれることもよくありますよ。

まとめ

思春期はお子さんにとって、成長に必要な大事な時期です。しかし口腔環境に関していえば、思春期特有の変化と昨今の青年たちを取り巻く生活環境が相まって、虫歯や歯周病のリスクを高くしてしまいます。 思春期のお子さんと上手に向き合い、お子さん自身が口腔ケアに興味を持って行動してくれるように導いてあげることができれば、トラブルは軽減できると思います。 そのために歯科医院も上手に活用していただきたいですし、そのためには幼いころから定期検診を受けることに抵抗を感じないようにしておくとスムーズですよ。ぜひ自ら「そろそろ歯医者に行きたい」といってくれるお子さんになるよう導いてあげてくださいね。

  • 記事を書いたライター
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江頭 小百合(歯科衛生士)

3姉妹の母、歯科衛生士ライターとして活躍中。小児歯科の現場や母親としての経験を活かし、お口の悩みやギモン、歯の健康に大切な情報をみなさんに楽しく・解りやすくお伝えしてもらっています。「418PROJECT」、歯科衛生士スタディグループ「Hygeia(ヒュギエイア)」在籍。

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