お口の健康コラム

口呼吸はなぜダメなの? お口の発育や全身の健康を司る「鼻で呼吸することの大切さ」とは

by 418編集部

ここのところとても寒くなりましたが、みなさん体調はいかがですか?寒くなると「風邪」や「インフルエンザ」の心配もありますね。我が家では、風邪やインフルエンザ対策として数年前から「鼻呼吸」を意識するようになりました。 そもそも鼻呼吸は、お口の成長・発育、歯並びともとてもつながりの深いものであるということをご存知ですか? 今回は普段何気なくおこなっている「呼吸」の中で「鼻呼吸」の大切さを、歯科知識も踏まえてご紹介したいと思います。

なぜ人間の呼吸は鼻呼吸である必要があるのか、「鼻のしくみ」を考える

最近「口呼吸」を改善するため、睡眠時に貼る口テープが販売されていたりテレビCMや健康をテーマにした番組などでもよく取り上げられています。 なぜ口で呼吸したらダメなの?という方もいらっしゃるかも知れませんが、人間の身体は平静時「鼻」で呼吸するようにできています。 平静時といはテレビを観ている時や本を読んでいる時などの落ち着いた状態の時のことで、その際口を閉じて鼻で呼吸をしています。そもそも鼻は呼吸をするために作られた器官。酸素を体内へ送り込み、二酸化炭素を出すために必要な有効的機能を備えた優秀な器官なのです。

1.鼻は天然の空気清浄機

まず、鼻の凄いところは、空気中に漂っている身体にとって「いらないもの」を防塵するフィルター効果を持っていること。鼻毛が空気を吸い込む際に要らないゴミやウイルスなどをストップしてくれます。 口や喉などの器官には毛が生えておらず、口呼吸の方はダイレクトに空気を吸い込み、一緒に身体にとって要らないウイルス等も吸い込んでしまうために、風邪やインフルエンザに罹患しやすいのではとも考えられています。

2.鼻で空気を加温して肺へ届ける

空気は体温よりも低いため、特に冬は冷たい空気を吸うことになります。冷たいまま直接肺に送り込まれれば、肺は縮あがりダメージが大きいでしょう。マラソンなどの運動時に呼吸が激しくなると口で呼吸することになりますが、その際、冷たい空気を一気に吸い込み、むせ返ってしまったりしたことはありませんか? 鼻を通ることによって体温と同じ温かい空気として肺に送り込むことができるのです。

3.鼻は天然の加湿器機能も!

鼻は空気を温めると同時に、湿度も加える機能があります。乾燥した空気で肺や気管支に負担を掛けないようにするためと、防塵フィルター効果アップのためでもあるのです。 鼻毛である程度大きなゴミやウイルスは防ぐ事ができますが、インフルエンザや花粉、PM2.5といった小さな厄介者たちはすり抜けてしまうことがあります。この小さな塵に湿度が加わることで重くなると、体内への侵入を予防することにつながるのです。

現代人が「鼻呼吸」ができていない現状とは

鼻呼吸の大切さがわかったところで、では鼻呼吸って意識しておこなえるものなのでしょうか?先にもお話ししましたが、通常は平静時は鼻呼吸です。これが口がポカーンと開いて、日常的に口呼吸になっている人が増えているのが現状なのです。なぜ口呼吸の人が増えているのでしょうか?

1.鼻が詰まっているため

日本人は慢性鼻炎や副鼻腔炎患者が約100~200万人!予備軍の方はそれ以上にいるといわれています。この中には潜在的な患者数も含まれており、自分が鼻が悪く、口呼吸になっていると自覚の無い方も多いようです。 鼻が詰まっていれば当然空気の通り道が足りずに口が開いてしまいます。そして口で呼吸していることでウイルスが侵入しやすければ、慢性的に鼻も治りが悪いため、鼻も口呼吸も治らないと悪循環になっている人が多いのです。 寝るときにいびきをかきやすい、口を開けて寝ていてヨダレが出てしまうなどの症状がある方は、口呼吸しているサインですよ。

2.歯並びが悪いため

お口を閉じることが難しい歯並びの場合、お口が開いてしまい口呼吸になりがちです。また、鼻と同じように、口が閉じれないことで歯並びも悪くなるので悪循環です。歯列矯正で歯並びを治さないとお口は閉じれませんし、せっかく歯並びを治しても口呼吸のままでは後戻りの原因になるともいわれています。

3.口腔機能が弱いため

歯並びの悪さとも関係することではありますが、最近ではお口周辺の筋力低下によってお口がポカーンと開いてしまう方が増えています。 平静時には、お口を閉じて舌が上顎に引き上げられているポジションが正常ですが、お口周辺の筋力が弱いと舌が下がり、お口周辺も下がり口が開きやすくなります。

4.姿勢が悪いため

最近はパソコンやスマホ、テレビゲームなどの電子機器を小さいお子さんの時代から触れる機会が増え、「スマートフォンシンドローム」と言われるほど、お子さんの猫背も問題視される世の中です。電子機器を触っている時はどうしても前かがみになりがち。猫背の姿勢で呼吸をする場合、自然に顎をあげて気道を開こうとしがちです。こうなると鼻よりも口を開けて呼吸するほうがしやすくなり、ポカーンとお口を開けてしまう傾向にあります。

口呼吸が体に及ぼす悪影響とはどんなこと?

鼻呼吸ができず、口呼吸を続けていると、身体にさまざまな悪影響として現れることがあります。よく起こりやすい症状を3つご紹介します。

1.風邪やインフルエンザに罹りやすい

先ほど少しお話ししたように、鼻というフィルターによって、インフルエンザなどさまざまな菌から身体を守ってくれています。また、鼻呼吸の場合、空気を鼻で吸い込み、鼻の粘膜を通って水分を吸収して保湿もしながら肺に届きます。口から空気を吸うことで喉を痛めたり肺に負担をかけることになってしまい、風邪をひきやすくなるとも考えられています。

2.睡眠時無呼吸症候群の原因に?!

口呼吸は舌が弱い傾向にあり、呼吸もしやすくするため舌が落ちてしまいがちです。寝ている時はさらに脱力して舌が喉の方に落ちて気道を塞いでしまいます。これが原因で睡眠時無呼吸症候群を引き起こすと考えられています。

3.アレルギーの原因にも…

鼻のフィルターを使わないため身体に侵入する細菌が増えるとなれば、それだけアレルギーの原因物質となり得る物質も摂り込む可能性が増えます。口呼吸はアレルギー体質の原因になることも考えられるのです。  

口呼吸することで起こるお口への悪影響は?

これまでのお話で、鼻呼吸が大切ということはお解りいただけたと思います。 さて、冒頭でも触れましたが、鼻呼吸できず口呼吸中心の生活を送っていることで、お口周辺や歯にもさまざまな悪影響を及ぼす危険性があります。なぜ418プロジェクトで鼻呼吸の大切さを取り上げたのか。ここを一番のポイントとして知っていただきたいと思います。

1.虫歯になりやすくなる

口呼吸をしていると、常にポカーンとお口が開いたままになるため、お口の中が常に乾燥してしまいます。以前唾液のコラムでもお伝えしましたが、お口の中が唾液で潤っていることでミネラルの供給による中和や初期虫歯の再石灰化歯を促進し、虫歯から守る機能が働きます。鼻呼吸をしている人に比べて虫歯になるリスクが高くなってしまうのです。

2.歯肉炎・歯周病になりやすい

口内にはさまざまな常在菌が存在します。虫歯もそうですが歯周病の原因菌も唾液の殺菌作用で中和される作用があります。口呼吸で唾液量が減り、乾燥した状態では、細菌が増殖しやすい環境を作ってしまうことになるのです。

3.口臭の原因になる

口臭の原因はさまざまですが、身体の病的な要素が無い場合は、ほぼお口の中の細菌が原因です。特にお子さんであればなおのこと、口臭が気になる場合は細菌が原因でしょう。 よく、朝起きてすぐのお口が臭いといわれる方がいます。これは寝ている間は唾液がほとんど分泌しないため、細菌が増殖したためです。歯みがきやうがいでお口が潤うと気にならなくなると思います。 口呼吸の場合、お口が常に乾燥し、細菌が増殖する環境です。また、お口から息が出るため、余計に口臭がする要因となるのです。

4.着色汚れが付きやすくなる

歯の表面に沈着する、歯ブラシでは落せない汚れ。これも口内が唾液で満たされていることで付きにくくなります。乾燥した歯面には汚れがつきやすくなりますし、唾液の自浄作用も働きにくいため、自然に落ちることもありません。

5.歯並びが「出っ歯」になりやすい

先ほどもご紹介したように、お口を閉じている時、本来舌は上顎に引き上げられています。その力が上顎の成長にもつながっているのですが、舌の力が弱く下がっていると上顎の成長が弱く狭くなるため、その分顎が前に突出してしまい「出っ歯」の状態になりやすくなります。

6.顔貌が緩んだ表情になりやすい

口呼吸の原因としてお口周辺の筋力が弱いことを挙げました。さらに口呼吸を続けていると鼻や上唇周辺の口輪筋を使わないため、頬のたるみや上唇がアヒル口になりやすくなります。普通にしていても「ボーっとしている」といわれるような表情に見えてしまうのです。一生懸命頑張っているのに「まじめにやりなさい!」と怒られるようなことがあるとすれば、とても悲しいことですよね。

鼻呼吸にするにはどうしたらいい?

鼻呼吸にしたい!と思ってもどうしたらよいのか解らないという方もいると思います。また、間違った方法を続けていても一向に改善されないということもあるでしょう。 鼻呼吸にするにはどうすればよいのか、症状に合わせて方法も異なりますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

1.鼻炎が原因の場合はまず耳鼻科で相談

鼻詰まりが原因で鼻呼吸ができない人は、まず耳鼻科の受診をお薦めします。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎の治療をおこない、鼻の通りを良くすることが先決です。

2.鼻で呼吸することを意識する

鼻呼吸が多少できるようであれば、無理してでも鼻呼吸を意識しておこないましょう。鼻呼吸を意識することで鼻呼吸の割合が増えていきます。 鼻呼吸といえば「ヨガ」の呼吸。最近では親子ヨガやキッズヨガ教室など増えてきています。体幹や姿勢だけでなく、お子さんが自然に鼻呼吸できるようになるためのトレーニングとしても活用できますよ。

3.鼻呼吸のために口にテープを貼る

口が無意識に開いてしまう方は、口にテープを貼るという強行策もあります。最近では鼻呼吸テープも市販されているので、無意識に開きやすい就寝中にテープを貼って寝ることを続け、自然な鼻呼吸を意識づけていきます。ただし、鼻が詰まっている場合には使用できません。

4.緩い口元の筋力アップをおこなう

口周辺の筋力が弱いことで口が開いてしまう方は、口腔機能療法「MFT(Myofunctional therapy)」を歯科医院で受けることもおすすめです。MFTとは口の周りの筋肉だけでなく、舌の筋力アップなどもおこない、舌が本来あるべき位置に引き上げられ、自然にお口が閉じる筋力を養うトレーニング。口元が引き締まり、お口ポカーンが治れば、自然と鼻で呼吸できるようになります。

5.歯列矯正をおこなう

歯並びが悪くなる原因として、お口や舌の筋肉の弱さ、口呼吸が関わっているのであれば、歯並びを整えることで改善する可能性もあります。その方法として筋機能を育成しながら歯列矯正をおこなうマウスピースなども活用できる場合もあります。 また、小児矯正でおこなう上顎の拡大装置を入れることで狭い上顎を広げることで、前歯の突出も予防し、鼻腔を広げることで鼻の通りも良くなることが期待され使用されることもあります。これらの治療が可能かどうかは歯科医師の診査・診断が必要になるため、かかりつけの歯科医院に相談してみましょう。

まとめ

風邪をひいた時など一時的な鼻づまりによる口呼吸であれば問題ありませんが、慢性化してしまっている口呼吸は身体のみならずお口周辺の機能にも悪影響がたくさんあること、お解りいただけたでしょうか? 実は鼻が詰まっているから口呼吸であるのか、口呼吸だから鼻が治らないのか、というように双方に悪循環ももたらしている可能性もあります。慢性化した口呼吸で起こる悪影響も同じことがいえます。 なかなか鼻炎が治らない場合、歯科に関わる原因を改善すると治るという例もあります。 普段何気なくしている呼吸。鼻呼吸の大切さ、今一度考えてみてくださいね。

ABOUT ME
江頭 小百合(歯科衛生士)
江頭 小百合(歯科衛生士)
3姉妹の母、歯科衛生士ライターとして活躍中。小児歯科の現場や母親としての経験を活かし、お口の悩みやギモン、歯の健康に大切な情報をみなさんに楽しく・解りやすくお伝えしてもらっています。「418PROJECT」、歯科衛生士スタディグループ「Hygeia(ヒュギエイア)」在籍。