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お口の健康コラム

「噛む」って素晴らしい! よく噛むことで健康になれる8つの効用

by 418編集部

今回は四季折々の旬を食すことができる日本人だからこそ、よく噛んでおいしく食事をするということに注目しましょう。

現代人の「噛む」ということに関する現状や、たくさん噛むことによるさまざまなメリットなどをご紹介しますよ。

せっかく美味しいものを食べるなら、しっかり噛んでお口の機能や体の健康アップにもつなげていただきたいと思います。

現代人の「噛む回数」が少ない理由とその影響

まずは現代の日本人の食分化の変化と噛む回数が減ったことの関連についてご紹介します。

昔の食事と今の食事で、噛む回数にどのような差があるのでしょうか?

そしてその違いによって、どんな影響があるのでしょうか。

日本人の食文化と共に減った「噛む回数」

人間はめざましい科学技術と共に、この30年間という短い期間で、食卓にも大きな革命を起こしました。膨大な量の食品が輸入され、流通も多くなり、食生活は多種多様になったのです。

その一方で、インスタント食品やコンビニの普及によるお弁当などによって、複雑雑多になってしまったともいえるでしょう。

簡単にレンジでチンして食べられるものや、ファーストフードなど欧米食が普及したことで、その影響は「噛む回数」ということに大きな影響を及ぼしています。

噛まなくなってしまった現代人への影響

食生活の変化によって、現代人は噛む回数が激減してしまいました。その影響は日本人全体にいえることですが、特に子どもたちへの影響は顕著で、約20年ほど前から「噛めない子ども」「噛まないで食べる子ども」が増えてきているといわれ始めました。

顎が成長し、歯が生え変わる時期の子どもが「噛めない」ということは、歯並びや運動能力などにも大きく影響を及ぼすことにつながってしまいます。

古代人から現代人へ大幅に減ってしまった噛む回数

では一体どれくらい噛無回数が減り、その影響とはどのようなものなのでしょうか。

具体的に年代別で比較したデータを基にご紹介したいと思います。

日本人が狩りをし農耕を始めたころである弥生時代には、1回の食事に約50分かかり、噛む回数は約4000回ほどかかっていたようです。

そして江戸時代にはその約半数で約22分間に1465回の噛む回数。現代にいたっては約10分間で620回と、約6分の1程度にまで減少してしまっているというデータがあります。

この結果にはやはり、現代のハンバーグやスパゲッティといったような柔らかい食事が増えていることや、お米よりも手軽なパン食の人が増えたことなども少なからず影響しているといえるでしょう。

噛む回数を増やす意識を!

現代人である以上、食べ物も柔らかいものを食す機会が多くなってしまうのは仕方のないことです。食材を工夫したり、噛む回数を増やす意識を持つことで、日々の食事での噛む回数を増やすことを心掛けてみましょう。

とはいえ、「なぜ噛むことが大事なのか」ということが理解できていなければ長続きしませんよね。

たくさん噛むことで得られる、たくさんのメリットを、次の章でご紹介します。

「ひみこのはがいーぜ」で全身を健康に導く8つの効用

よく噛むということは、食べ物をしっかり体に取り入れるためやお口の機能を向上させるというだけではなく、全身にも大変重要な働きがあるのをご存知ですか?

現代人はもっと「噛む」ということを真剣に考え直さなければならない時代だと思います。

そこで、学校食事研究会は、食べ物をよく噛んでいた弥生時代の「卑弥呼」になぞらえた標語を用いて、噛む回数を増やすことで起こる「8つの良いこと」を提唱しています。

噛むことの効用「ひみこのはがいーぜ」とは?

現代よりも6倍もの噛む回数だったとされる、女王「卑弥呼(ひみこ)」で有名な弥生時代。 これからご紹介する8つの効用を気にかけることで、卑弥呼の時代のように噛む回数を少しずつでも増やしましょう!

 

・『ひ』…肥満防止

よく噛むことで脳にある満腹中枢が刺激されて、満腹感を感じるため食べ過ぎ防止につながります。

よく噛まずに食事していると自然と早食いになってしまい満腹感が得られにくくなります。その結果さらに食べるという悪循環に陥ることもあり、肥満につながることもあるのです。

 

・『み』…味覚の発達

よく噛むことで食べ物の素材本来の味がよく解り、味覚が発達します。

濃い味付けに舌が慣れてしまうことで味覚障害につながってしまうため、できるだけ薄味を心掛けるようにしましょう。

 

・『こ』…言葉の発達

よく噛むことでお口をたくさん動かすと、周辺や顔の筋肉が発達します。お口周辺の筋機能向上は、歯並びを整えることにもつながります。

歯並びが整っていると言葉もきちんと発音することができますし、表情もとても豊かにしてくれます。

 

・『の』…脳の発達

噛む運動はこめかみ付近を動かすことで脳への血流も良くなり、脳細胞の動きを活発にします。開けたり閉じたりする動きで顎を動かすことで、脳に酸素や栄養が送られて活性化につながります。

この刺激が子どもたちの知育にも良い作用があり、高齢者には認知症予防に大きな良い影響を与えてくれます。

 

・『は』…歯の病気を予防

よく噛むことで唾液の出る穴(唾液腺)を刺激して分泌を促す効果があります。

唾液には汚れを洗い流してくれる自浄作用(じじょうさよう)という効果や、虫歯になり始めた歯の表面を元に戻そうと働く効果があります。

抗菌作用も伴い、虫歯予防や歯周病予防につながります。

 

・『が』…ガンの予防

唾液の成分に含まれている酵素「ペルオキシターゼ」には、食品に含まれる発がん物質の作用を抑える働きがあるといわれています。また、食物が30秒以上唾液に浸されていると効果的ともいわれています。

よく「1口入れたら30回噛むことが望ましい」といわれますが、噛む回数を増やす目的だけでなく、ガン予防の効果にもつながっているのです。

 

・『い』…胃腸の働きを促進

よく噛むことで、お口に入れた食物をしっかり噛み砕いてから飲み込むことができます。

消化酵素がたくさん分泌されて胃腸への負担をやさしくすることにつながり、消化吸収がスムーズにおこなわれます。

あまり噛まないまま飲み込むと胃腸障害が起こったり、栄養吸収が正常におこなわれず溜め込まれてしまうことで生活習慣病にもつながってしまう恐れがあります。

 

・『ぜ』全身の体力向上

よく噛むことはお口の筋機能を強くします。そうすることで噛みしめる力が育ち、全身に力が入ります。ここぞという場面や、運動の際にぐっと力を入れて噛みしめることで大きな力が発揮できますし、運動能力の向上や集中力を養うことにもつながります。

高齢者の方は体に力が湧いてくることで、日常生活での自信や活力にもつながります。

よく噛むことで得られる口腔機能へのメリットとは?

全身機能へのメリットだけでなく、よく噛むことは顎の成長や唾液の分泌にも大きく影響します。このことは、歯並びや虫歯の予防にもつながるとても重要なことなのです。

次は、噛むことがもたらしてくれるお口へのメリットをご紹介します。

唾液の分泌を促す

先ほど、噛む動作は唾液が分泌する「唾液腺」を刺激し、唾液の分泌量を増加させてくれる効果があることをご紹介しましたね。唾液にはお口の汚れを流してくれる自浄作用(じじょうさよう)や抗菌作用があるため、唾液がたくさん分泌されることで虫歯や歯周病の予防に大きく役立ちます。

また、唾液によってお口の中が保湿され、お口の中を傷つけることを予防したり、食べ物を飲み込みやすくする作用もあります。

ですから、食事の際によく噛むことで唾液がたくさん分泌されることは、とても大切なことなのです。

顎の成長を促す

よく噛むことは顎の骨の成長期にとても重要な役割があります。

赤ちゃんが産まれて、まず母乳を飲むための顎の動きに始まり、歯が生え始めて生え揃うまでの約3年間、顎もU字型のアーチを形成するように広がりながら成長していきます。そして4~5歳頃に大きく成長する時期を経て、乳歯は若干隙間がある生え方となり大きな永久歯への交換がスムーズにおこなえるようにスペースを確保するよう成長します。

この歯の交換時期と伴った顎の成長を促すには、よく噛んで顎を動かすという動作が重要です。

綺麗な永久歯の歯並びへと導くためには、よく噛んで顎の成長を促すということが必要不可欠なのです。

お口周辺の筋肉を鍛えることができる

お口周辺にはたくさんの筋肉があります。これらはたくさん噛んで顎を動かす動作によって鍛えることにつながります。

お口周辺の筋肉の発達は素敵な笑顔や豊かな表情を生み出します。また、お顔のハリがよくなりますので、たるみやシワの予防にもつながります。 いつまでも若々しく表情豊かに過ごすためにも、噛むという動作は大変効果的な動作なのです。

よく噛むことにつながる工夫や方法を伝授!

「よく噛む」といっても、意識づけもなかなか難しいものです。

そこで、日常生活の中に「噛む」ということを増やす工夫をいくつかご紹介します。

噛むことを増やすためのヒントにしてみてくださいね。

噛み応えのある食材を取り入れる

毎日の食事の中に、噛み応えのある食材をできるだけ取り入れるように意識してみましょう。

たとえばゴボウやレンコンなど繊維質のもの、昆布やスルメなど海産物を干したもの、細かくしていないお肉などが挙げられます。

また、ガムやグミなども効果はありますが、これらに関しては虫歯の予防も考慮してノンシュガーのものをおすすめします。

食材の調理に工夫をする

噛み応えのある食材ばかりを食べるといっても味気ないですよね。そこで何を食べるにしても「食材を大きめに切る」と意識して調理するようにしてみてください。

たとえばカレーを作るとき、お子さんが食べやすいようにと一口大に切るのではなく、あえて大きめに材料を切ります。

そうすることで、食べるときに自分の歯を使って一口分をかじりとる力と噛み砕く力を養うことができますし、噛む回数も自然と増えてくれることでしょう。

一口入れるごとに箸をいったん置く

よく「一口入れたら30回噛みましょう」といわれますが、なかなか難しいものです。

現代人は忙しく、食事にゆっくり時間をかけて食べることができなくなって来ているのも原因の一つといえるでしょう。

そこで、食事の時に「一口入れたら箸を置く」という動作をやってみましょう。お茶碗を持ったまま食べていると、次の食べる動作に自然と移ってしまうように神経が働いてしまいがちです。

一口入れたら箸を置いて噛むことに集中するように意識付けると、噛む回数が増えることにつながります。

まとめ

いかがでしたか?

普段何気なく噛んで食事をしている人が多いと思いますが、「噛む」という動作にはたくさんの大切な働きがあることがお解りいただけたと思います。

お口の機能を育てて綺麗な歯並びに導くことはもちろんのこと、全身の健康といつまでも元気で若々しくいられる効果が盛りだくさんです!

ぜひ今日から日常生活の中で「噛む回数を増やす」ということを意識してみてくださいね。

  • 記事を書いたライター
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418 編集部

専門家によるお口の子育て情報配信、コラムやQ&Aで“健口”知識をわかりやすくお伝えします! 418プロジェクトは、健康と笑顔あふれる社会を目指し、虫歯予防・健康・発育・食育を楽しく学ぶプロジェクトです。一緒に虫歯ゼロ活動に取り組みましょう☆

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  3. 418 Smile Press 〜家族のためのお口と健康情報〜 2022.08

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