お子さんが日常、何気なくしている生活習慣の中の「癖」。
まさか歯並びと関わりがあるなんて!と思うようなこともあるかもしれません。
前回の「口呼吸」に引き続き、今回は「舌」が及ぼす悪影響について解説します。
お子さんの歯並びが気になっている方は、同じような癖や症状がないかチェックしてみてくださいね。
筋機能が弱いことで舌が下がっていませんか?
舌は筋肉でできているので、使っていないと緩んでしまいます。
二の腕などを想像していただくと分かりやすいと思いますが、使っていないとたるみます。
同じように舌が緩んでいると二重アゴになってしまいます。スリムな女優さんやモデルの人でも、太っていないのに二重アゴになっている人を見たことはありませんか?二重アゴになっている人は、舌が下がり緩んでいる証拠なのです。
舌が下がると歯並びに影響します
本来お口を閉じた状態では、舌は上あごに付いています。これがあごを自然に広げる役割も担っています。
しかし舌が下がっていると、上あごは広がらず、永久歯が生えてくるスペースが確保できないため、歯並びが悪くなってしまいます。
また、舌が上あごの口蓋(こうがい)に付いていることであごが押し広げられると、顔面は前方に成長するのですが、舌が下がっていると口蓋が高くなる為、垂直下方に成長します。そうすると、面長な顔になってしまいます。
また、舌が下がっていると、就寝時に舌が喉の方へ下がって気道を塞いでしまうため 「睡眠時無呼吸症候群」になる可能性もあります。
食事をうまく飲み込めなくなることもあります
舌の筋肉が正常に発達していないことは、舌の沈下だけでなく、正しく動かすことができなくなる原因にもなります。
たとえば、頬杖を付いたり、足組や寝相の向きぐせなど、外的な圧力が一部に強くかかるようなことがあると、歪んだ動きをしてしまいます。
また、口周辺のさまざまな筋肉のバランスの不具合で舌が動いてしまい、舌が前に突出していたり、唇を噛んだり、「逆嚥下(ぎゃくえんげ)」を起こしたりすることがあるのです。
逆嚥下とは?
本来は舌を上顎につけるように飲み込むのが正しい飲み込み方ですが、舌が下に落ちてしまっていたり(低位舌)、間違った動きを覚えてしまうと、下あごの前歯の後ろあたりに突出させて飲み込んでしまいます。これを「逆嚥下(ぎゃくえんげ)」といいます。
食事ができるようになってきた時期に、離乳食などで自然に覚える飲み込みですが、間違った舌の使い方が癖になってしまっていると、飲み込む時に、舌が出る、うまく飲み込めない、食べ物や飲み物をよくこぼすようになる…などの不具合が起こってきます。
まとめ
舌は歯並びを整える役割もあります。
実は歯は、わずか1.7gの圧力で動いてしまいます。
少し歪んで歯が生えてきたとしても、頬や唇から受ける外からの圧力300gと、舌から受ける圧力500gがバランスよくかかることで歯列上に整う仕組みです。
舌が下がってしまい常に口がポカーンと開いていれば、頬や唇、舌から受ける圧力も無いため、歯並びが自然に整うことが難しくなってしまいます。
ですから、口周辺と舌の筋機能の発達は、正しく整った歯並びを作るために欠かせないチカラなのです。