乳歯が抜け始めると、永久歯がきれいに並ばないことを不安に思う親御さんもいらっしゃると思います。今回は、よくある質問でもある、「前後にデコボコと生えてきてしまった場合に引っ掛かっている乳歯を削ったり、先に抜いてスペースを開ることはできないか」という質問にお答えしたいと思います。
さらに歯並びを悪くする可能性があるため、削ったり抜いたりすることはできません
いくらスペースが足りないからといって、永久歯が引っ掛かっている乳歯を削ったり先に抜いたりすることは基本的にできません。
乳歯の生え変わりは、顎の成長や他の歯の交換など、トータルで考える必要があります。1箇所だけ修正したからといって、歯並びが整うわけではないんです。
なぜ永久歯が入り組んで生えてきてしまうの?
通常は顎の成長に伴って歯が並ぶスペースを生み出し、そこでスムーズな乳歯と永久歯の交換が行われるのが理想です。 けれども、最近のお子さんは、便利な生活環境や食の欧米化によって口腔育成がスムーズに行くことが少なく、顎が狭くなりがち。それによってスペースが不足して生えてしまうことがよく見られます。
邪魔になっている隣の乳歯を削れないの?
抜ける前の乳歯を削って、生えてきた歯の入るスペースを確保しても、削った歯の下の永久歯が生えるスペースが広がるわけではありません。ですから、次の歯もまた結局、スペース不足になってしまいますよね。
邪魔になっている隣の乳歯を抜いてスペースを広げたら?
早めに抜歯してしまうのはもっと危険です。
永久歯は乳歯の根っこに沿って萌出します。まだ生える時期になっていないのに乳歯が無くなれば、永久歯は生えるための道しるべを失うことになってしまうのです。
また、早めに抜いた歯の部分はすぐに永久歯が出てきません。一定期間スペースが空いた状態が続くと、その部分を埋めようと両隣の歯が寄ったり傾いてしまったりします。
道しるべもスペースも失ってしまった部分の永久歯は、本来生える場所ではない部分に生えてくるなど、さらに歯並びを悪化させることになってしまいます。
顎の成長を促すための工夫をしましょう!
もしもデコボコに生えてきても、歯並びはまだまだ動きます。顎が成長するにしたがってスペースができて、歯並びが整う可能性も十分にあります。そのためには顎がしっかり成長するよう、固いものをしっかり噛む食事や、舌がしっかり引き上げられるようにトレーニングするなど工夫できることは沢山あります! 歯並びで気になることがあったら、まずは歯科医院に相談してみてくださいね。