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お口の健康コラム

防災の備えは本当にそれだけでいい?命を守るために「液体ハミガキ」の備えを

こんにちは!ヒガシです。

つい最近東京・埼玉で10年ぶりに「震度5強」の地震があり、眠れない夜を過ごした方も多いのではないでしょうか。

今回は、歯科の観点から防災対策として「液体ハミガキ」等のオーラルケア用品を備えておくことの重要性や、災害時に断水状態になってしまった場合のお口のケア方法などを中心に紹介していきます。

現在、全国各地で「液体ハミガキ」が防災備蓄に採用されていることはご存知でしょうか。防災に備えるものといえば、食料や水はもちろん、懐中電灯や医薬品など、まずは身の安全を守るものを思い浮かべることが多いかと思います。

そんな中で防災備蓄に「液体ハミガキ」が採用されている理由は、「誤嚥性肺炎」を引き起こして、命を落としてしまうことを防ぐためです。

防災対策は災害による直接的な被害だけではなく、その後の避難生活における「災害関連死」への対策も必要です。最近では防災意識が高い方も増えているため、すでに準備しているという方もいらっしゃるかもしれません。

防災対策で大切なことは、一人ひとりが自分や家族の身の安全を守る「自助」です。もしもの時、自分や大切な人の命を守るために、事前にしっかり備えておきましょう。

 

「液体ハミガキ」備えていますか?命を守るためにオーラルケア用品の準備を

「液体ハミガキ」備えていますか?命を守るためにオーラルケア用品の準備を

「液体ハミガキ」を備えておくことは、お口の健康はもちろん、命も守る大切な役割も果たします。また液体ハミガキ以外にも、「ハブラシ」「ハミガキシート」「キシリトールガム」なども備えてあると、なお良いです。

オーラルケア用品はどれもコンパクトなものが多いため、防災グッズの隅の方にでも入れておくだけで、いざというときに私たちを助けてくれます。

災害時には命を奪う可能性のある「誤嚥性肺炎」に要注意

災害時には命を奪う可能性のある「誤嚥性肺炎」に要注意

阪神・淡路大震災や東日本大震災で、「災害関連死」の多数を占めていたのは「肺炎」です。この肺炎の原因の多くが「誤嚥性肺炎」だと考えられ、阪神・淡路大震災以降の震災では、誤嚥性肺炎予防のための口腔ケアの重要性が注目されています。

震災時には、

  • お口のケア不足
  • 入れ歯の紛失による、食事の食べにくさからくる栄養不足
  • 慣れない環境によるストレス(唾液の減少)
  • お口のケア不足等による全身疾患の悪化

などから細菌に対しての免疫力が下がり、口の中では震災直後から歯周病原菌が増え続けてしまいます。この増殖した細菌が誤嚥によって肺に移動してしまうと「誤嚥性肺炎」を引き起こし、命を奪ってしまう可能性もあります。

またお口のケア不足は、歯周病・むし歯のリスク増加で急な疼痛を引き起こす可能性や、糖尿病や心疾患、脳血管疾患などの全身疾患の悪化も考えられるため軽視できません。

さらに免疫力が下がり、唾液も少なくなるとインフルエンザ等の感染リスクも上がります。

例え災害から避難できても、避難所で歯磨きや入れ歯の清掃などが不十分な場合、口腔衛生状態の悪化から体全体に悪影響が及ぶ場合があるのです。

なぜ備蓄するのは「液体ハミガキ」なの?

なぜ備蓄するのは「液体ハミガキ」なの?

いつも当たり前にしている「歯磨きの後のうがい」は、水があってはじめて成り立ちます。チューブに入った練りハミガキの場合は、歯磨きの後にうがいが必要です。

そのため、災害時には水がなくても歯磨きができる「液体ハミガキ」が活躍します。

支援物資としてオーラルケア用品が届けられるかもしれませんが、災害の状況・場所などによって必要なときに必要な量を与えられるとは限りません。

また慣れない環境によるストレスによって唾液は減少します。仮に練りハミガキを備蓄していたとしても、カラカラの口の中では、水が無いと練りハミガキでの歯磨きは困難です。さらに、練りハミガキに含まれる研磨剤の成分は、さらなるお口の乾燥も招きます。

例えば水やオーラルケア用品が届くまでの間だけでも、ご家族に1本「液体ハミガキ」があれば、水が少ない状況下でも液体なのでお口のすみずみにまで殺菌成分が広がりやすく、口の中の菌を減らせます

使い方も簡単で、約10mL程度の適量をお口に含み、20秒ほどすすいでいきわたらせた後にブラッシングするだけ。水でのうがいは必要はありません

『液体ハミガキ』って実際どんな商品があるの?

「液体ハミガキを備えておきましょう、といわれてもピンとこない…」という方のために、実際の商品を紹介します。

サンスターさんの「ガム・デンタルリンス」を例にして、紹介しますね!

ガム・デンタルリンス[レギュラータイプ]

容量:250mL

希望小売価格:税込550円

歯周病菌を殺菌し、炎症を防いでより効果的に歯周病と口臭を防ぐ液体ハミガキ。

 

【使用方法】
液体ハミガキをお口に適量約10ml含み、約20秒よく行き渡らせた後、ハブラシでブラッシングします。うがいは必要ありません。

出典:サンスターHP

これ1本あれば、1回約10mLを1日3回使用で、1人のみであれば1週間以上使えます。

 

出典:サンスターHP

ちなみに、防災オーラルケアに力を入れているサンスターさんは、行政・企業向けに長期保存用のスティックタイプ(10ml×400本)も販売しています。

サンスターさん以外にも液体ハミガキは販売されていますが、1つ注意して欲しいことがあります。「液体ハミガキ」と「洗口剤」はとっても形が似ています。

 

引き続きサンスターさんの商品で比較すると…

 

出典:サンスターガムHP

サンスターさんの液体ハミガキは左側。右側は、洗口液です。HPでも間違えやすいですが、ドラッグストアだとしっかり見ないと間違って購入しかねません。

サンスターさんの商品の場合、上の図のように表面に「液体ハミガキ」「洗口液」と書いてあるので、しっかりチェックして購入しましょう!

「液体ハミガキ」や「ハブラシ」が無い場合はどうする?

出典:日本歯科医師会HP

日本医師会のHPでも、上の図のように災害時のケア方法が紹介されています。もしもの時のために実際のケア方法を想定しておくと、慌てずに冷静に対応できます。

歯ブラシがないとき

◆歯ブラシがないとき

ハンカチティッシュ(あればウエットティッシュ)などを指に巻きつけ、こまめに歯の汚れを拭きとります。余裕があれば、専用の「ハミガキシート」も備えてあると便利です。

また、ハンカチやティッシュがない場合には、水やお茶などがあれば食後にうがいを数回に分けて行い、汚れをできる限り洗い流しましょう。

歯ブラシはあるが、水が少ないとき

歯ブラシがあって水が少ない場合は、

  1. 30ml程度の少量の水をコップに用意
  2. その水で歯ブラシを濡らし、歯みがき開始
  3. 歯ブラシが汚れたらその都度、ティッシュペーパーで汚れを拭く
  4. 歯みがきが終わったら、用意していたコップの水を2~3回に分けてうがい

の流れで、お口のケアをしましょう。

30mlの水でうがいをする際には1回でするより、2~3回で分けてブクブクとうがいをした方がしっかり汚れを洗い流せますまた「液体ハミガキ」を使用すれば、水は必要ありません。

口の中の汚れを洗い出す「唾液」の分泌を促すことも大切

出典:日本歯科医師会HP

状況に応じて可能な限りお口のケアを行う以外にも、お口のケア不足に対してまだできることはあります。

それは、唾液の分泌を増やすことです。唾液にはお口や体にうれしい多くの作用があります。例えば、口の内外からの菌に対する「抗菌作用」や、口の中汚れを洗い流す「自浄作用」、口の中をむし歯になりにくい中性に保つ「緩衝能」など、さまざまな作用があります。

災害時はストレスや食事の制限などにより唾液の分泌が少なくなってしまうため、唾液を増やす対策をすることで、これらの作用を活性化させられます。

避難所等でも簡単にできる方法として、

  • ガムを噛む
  • 唾液腺マッサージをする
  • 嚥下体操をする

などが挙げられます。シュガーレスガム(キシリトール100%ガム)があれば、よく噛むことで、唾液が出やすくなるとともにストレス解消も期待できます

また普段から誤嚥しやすい方の場合は、食べ始めのひと口目に誤嚥が起こりやすいため、食べる前に準備運動として「嚥下体操」行うことも大切です。食べる前に、深呼吸や首・肩を動かしたり、舌の体操をしたりすることで誤嚥を予防し、唾液の分泌増加も期待できます。

 

3ヶ月に一度は、防災用品の点検をしよう

年4回、3月1日・6月1日・9月1日・12月1日は「防災用品の点検の日」とされています。防災対策は、継続して行なうことがとても大切です。

もしもの時のために3ヶ月に1度は、防災用品の点検をするとともに、防災に対する意識も高めておきましょう。

防災グッズ一例

防災グッズ
  • 食料品(非常食は最低3日分。余裕があれば1~2週間分備蓄)
  • 水(1人1日あたり3L必要)
  • 貴重品(預金通帳、現金、印鑑、健康保険証など)
  • 救急用品(絆創膏、常備薬など)
  • ヘルメット、軍手、マスク
  • 懐中電灯、携帯ラジオ、予備電池、携帯電話の充電器
  • 衣類、タオル、毛布、下着
  • 洗面用具、カイロ、ウェットティッシュ、携帯トイレ、液体ハミガキ、ハブラシ

※乳児がいる場合は、ミルク・紙おむつなども用意

防災グッズは最初からセットになった防災袋も販売されていますが、必要なものは家族構成によっても異なります。それぞれの家族構成や生活に合わせて、必要なものをプラスしましょう。

避難訓練にも参加してみよう

防災グッズを用意するだけでなく、実際に避難訓練に参加することも大切です。地域や職場で行われる避難訓練で、避難の経路や手順について確認してみましょう。実際に訓練に参加することで、必要なものが見えやすくなります。

普段から口の中の点検もしておきましょう

災害は、いつ何時起こるかはわかりません。定期的に歯科検診に通っている方もいれば、むし歯・歯周病だとわかっていても、「痛みがないから」「忙しいから、そのうちいけばいいや」など、と考えている方もいらっしゃるのはないでしょうか。

治療が必要な歯を放置すると、いざ災害が起こったときに、強い痛みが出たり体にまで悪影響を起こしたりする可能性があります

普段から定期的に歯科検診に通うことで、もしもの時のトラブルを最小限に抑えることができます。3ヶ月に1回は防災用品の点検をするとともに、気になるところがなくても歯科検診に通い、お口の健康も維持しておきましょう

 

まとめ

地震や津波などの自然災害は、ある日突然、想像を超える力で私たちの日常に襲いかかってきます。

日本は毎年のように災害が発生し、私たちの生活に大きな被害を出していますが、普段から防災対策をしておくことで、被害をできる限り少なくすることは可能です。

災害時は命を守ることが最優先され、水や物資がない環境では、お口のケアは後回しにされてしまいがちですが、お口のケアもとても大切です。

今回お話した「液体ハミガキ」は通常の保存状況下で未開封の状態であれば、製造から3年程度経過しても品質に問題ないように設計されているため長持ちします。

今からすぐに万全の備えをすることは、なかなか難しいかもしれません。しかし、できることから一つずつでも、防災対策を意識して過ごしてみてはいかがでしょうか。

  • 記事を書いたライター
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東 里佳 (歯科衛生士)

2つの歯科医院で14年間勤務したのちに、2020年から歯科衛生士ライターとして活動しています。これまでの歯科衛生士としての経験を活かして、多くの方が「知りたい!」と思う歯科の疑問にわかりやすくお答えしていきます。418PROJECTでは歯科ブログの執筆、Instagramの運営に携わっています。

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  3. 防災の備えは本当にそれだけでいい?命を守るために「液体ハミガキ」の備えを

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