お口の健康コラム

【新型コロナウイルス対策】オーラルケアと口腔機能向上でウイルス感染に負けない身体づくり

みなさんこんにちは! 418プロジェクト編集部の歯科衛生士 江頭です。

今、世界中を震撼させている「新型コロナウイルス」という厄介なウイルス。

どんなものか解らないことや予防のためのワクチンも感染後の薬も無いことから、多くの皆さんが「見えない恐怖」への不安が続いていると思います。 我が家も3月から子供たちが休校となり、10、20、30代は感染を広げる恐れがあるとして自宅待機を余儀なくされています。仕方のない措置とはいえ、全国の休校中の子どもたちは行き場を失いストレスを抱えていることでしょう。

私は普段、ライターとして皆さんに歯科情報をお届けしておりますが、歯科衛生士という立場でもあります。「こんな時こそ、皆さんのお役に立てることは無いのか」と考え、歯科の観点からの『ウイルス感染予防』が、新型コロナウイルスの感染予防や感染後の症状悪化を予防することにも繋がるのではないかと考えました。

そしてその情報をみなさまにお届けし、こんな時だからこそ「オーラルケア」「口腔機能育成」に興味をお持ちいただければと思いました。 ぜひ参考にご覧ください。

 

まずは『コロナウイルス』について正しく理解しましょう

 

インターネットには多くの情報が溢れて、何を信じてよいのか戸惑います。トイレットペーパーが無くなるのでは?と誰かがつぶやけば、世界中からトイレットペーパーがその日のうちに消えてしまうほどの現状です。

まずは恐怖を感じる前に、新型コロナウイルスがどんなものか正しく知ることから始めましょう。

 

『コロナウイルス』とは

コロナウイルスは、動物の体内で感染症を引き起こす病原体のことです。これまでにも6種類が発見されており、そのうち4種類は咳やのどの痛みを引き起こして「風邪」と診断される軽いもの。病院で「風邪」と診断されたもののうちの約10~15%はコロナウイルスによるものといわれています。それくらい身近なウイルスなのです。

しかしあとの2種類はこれまでSARS(重症急性呼吸器症候群)、MARS(中東呼吸器症候群)として以前流行したウイルスで、これらに罹ると深刻な呼吸器疾患を招く恐れもあります。

SARS

SARSはコウモリから人へと感染したウイルスです。9.6%の感染者が死に至るという高い致死率でもありました。ただし死亡した方の多くは高齢者や持病のある方で、子どもや若年層は感染しても軽症に済む人がほとんどでした。

MARS

MARSはヒトコブラクダから人へ感染したウイルスです。34.4%の感染者が死に至っています

こちらも致命率は高いのですが、重症化は高齢者と持病をお持ちの方がほとんどで、他の人たちはウイルス感染を起こしても軽症あるいは無症状のまま回復しているのが特徴です。

 

新型コロナウイルスとは

 

中国で発症したとされる新型のコロナウイルスは、動物を介して人に感染が拡大したのであろうと言われていますが、はっきりとした感染源は現在も調査が続いています。非常に弱い菌であるため感染しても無症状や軽症のため気づきにくく、潜伏期間が2週間と長いことから、感染者が気づかずに日常生活を送っているだけでも接触者に移してしまう可能性の高いウイルスです。

主な症状としては発熱に始まり、4日経っても下がらない場合には感染の疑いも考えてもよいといわれています。その後悪化した場合は呼吸困難や肺炎の所見が見られ、高齢者や持病を持つ人を中心に悪化したり、最悪の場合死に至るケースも出ています。

感染経路

最初の感染経路としては、他のコロナウイルスと同様に動物から人への感染だろうといわれています。遺伝子配列が「RaTG13」というコウモリが持つコロナウイルスと最も似ていますが、このウイルスが進化したものではないことも判り、現在も詳しい起源は判っていません。

その後は人から人への咳やくしゃみ、鼻水などの飛沫感染が大きいとされ、ウイルスが非常に小さいために、マスクをしていても侵入するといわれています。マスクはあくまでも「自身が感染源である場合の感染拡大防止策」です。

ウイルスは口や鼻だけでなく目からも侵入するといわれており、予防ワクチンや感染後の特効薬が無い今、「ウイルスの予防策」といえばこまめな手洗いとうがいといわれています。 他にはしっかり室内を加湿してウイルスの活動しづらい環境にすることや、こまめな換気。手と手を介して感染することを予防するための除菌・消毒液などの活用といわれています。

 

オーラルケアでウイルスの侵入を予防しましょう!

そこで本題です!

ここ最近、インフルエンザ予防に歯磨きをはじめとする「オーラルケア」が重要だという研究結果が発表されています。これはインフルエンザだけでなく、ウイルス感染を通して起こす病気への予防に大きな効果を発揮すると考えられます。

ウイルス感染のメカニズム

ウイルスは咳やくしゃみ、鼻水などが飛沫したものを口や鼻で吸い込んだり、ウイルスが付いたものに触れた手で目・鼻・口を触ったことによって感染します。

鼻や口から侵入したウイルスが粘膜に付着して細胞内に侵入すると、たんぱく質を溶かす酵素(ノイラミダーゼ)の働きで増殖し続け、感染を拡大していきます。

 

なぜオーラルケアが予防策となるのか

歯磨きをおろそかにしていると、口内に常在している虫歯や歯周病の原因菌が増殖して歯垢(プラーク)を形成。そこを宿巣としてさらに増殖。歯を溶かし、歯茎を延焼させて口腔内環境を悪化させます。

この「歯垢」には肺炎球菌や黄色ブドウ球菌、緑膿菌、セラチア菌、インフルエンザ菌も含まれているとされています。これらの細菌は「プロテアーゼ」という酵素を排出します。プロテアーゼはウイルスを粘膜から細胞へ侵入しやすくする作用があるため、歯に歯垢が沈着すればするほど、それだけ細菌数も多くプロテアーゼもたくさん排出。感染の発症率や重症化を招く要因になってしまいます。

そこで「歯みがき」がウイルス感染予防に重要な役割を持つのです!

ウイルス感染予防のための「鼻呼吸」の重要性

もうひとつ、とても重要なことがあります

それが「鼻呼吸」です。 人間は通常、静常時には口を閉じて「鼻」で呼吸するものです。しかし最近では「口呼吸」の人が増え、運動直後などでない時でもお口がポカーンと開いて口で呼吸をしています。

口呼吸していると口がウイルスを侵入させる経路となってしまいます。また、口呼吸で口内が乾燥すると細菌の活動が活発になり、歯垢も形成されやすくなってしまいます。

これらを改善するためにも、ウイルス感染予防のひとつとして日常的に「鼻呼吸」できるようにしたいですね。

では、なぜ「口呼吸」になるのか

人間は生まれてすぐに母乳を飲むための「吸啜運動」が備わっています。口で母乳を吸うために顎と舌をしっかり動かすことで、顎と舌の筋肉が成長します。その後も離乳食や日常的な運動を経て、顎が正しく成長し口周辺の筋肉が発達すれば、舌は上顎に引きあがり自然と口が閉じて鼻で呼吸ができます。

ところが最近では、顎や舌、口周辺の筋肉の成長不足により、舌が下がり口元の締まりが緩く、口がポカーンと開いてしまうお子さんが増えています。口が常に開いていると前歯が突出した歯並びになることも多く口元が閉じにくくなるため、さらに口で呼吸してしまうという悪循環になってしまうのです。

鼻呼吸と口呼吸のウイルス感染リスクの違い

もちろん鼻から呼吸していてもウイルスや菌を吸い込まないとは限りません。しかし鼻は外部からの侵入を防ぐフィルターの役割を持っています。しっかり鼻で呼吸ができていれば、口で主に呼吸しているよりも感染のリスクは低いのです。

口呼吸かも?!と気になる方に効果的な「あいうべ体操」

口呼吸を鼻呼吸に改善するためには、緩んだ口元の筋肉や舌の筋肉をトレーニングすることです。この口腔機能育成は、ウイルス感染予防対策だけでなく、お子さんの成長やご老人のフレイル予防にも役立ちますのでおすすめです!

「あ・い・う・べ 体操」とは

お口の機能を向上させるためには、口唇や舌の筋力アップが不可欠です。そこでこの「あ・い・う・べ体操」をおこなうと、口唇や舌が機能的に刺激され、口呼吸が鼻呼吸に整います。口呼吸による弊害が改善され、アレルギーをはじめとするさまざまな病気にもよい影響をもたらしてくれるともいわれているお顔全体の体操です。

あ・い・う・べ体操をやってみましょう!

➀「あ」の動き

まず最初に「あー」とお口を大きく開きます。眼をしっかり見開くくらい大きく開けましょう。

②「い」の動き

次に「いー」と口の端と端(口角)を大きく横に引っ張ります。このとき舌が上あごに付いていることを意識して挙上させるようにしましょう。

③「う」の動き

続いて「うー」と唇をすぼめて強く前に突出させます。これは口の周りの筋肉(口輪筋)を意識しておこないましょう。

④「べ」の動き

最後に「べー」っと舌を突き出して顎の方向へ思いっきり伸ばします。舌の筋肉の運動になりますので、これ以上伸びないという所までしっかり伸ばしましょう。

★1つの動作に5秒くらいかけてゆっくりとおこない、1日30セットを目標に取り組むのが理想的です。

あ・い・う・べ体操を楽しくおこなえる方法

お子さんに「あ・い・う・べ」をお口の動きを意識しながらさせるのはとても難しいと思います。

逆に小さなお子さんであれば、童謡に合わせて楽しくおこなうことも可能です♪

歌った回数で1日のノルマ回数も管理しやすくオススメですよ。

➀きらきらぼし

き・ら・き・ら・ひ・か・るー → あ・あ・い・い・う・う・べー お・そ・ら・の・ほ・し・よー → あ・あ。い・い・う・う・べー ※この要領で1曲歌って6回(1日に5曲歌ってノルマ達成!)

②森のくまさん

あるーひー もりのなかー → あいうべー あいうべー くまさんにー であったー → あいうべー あいうべー ※この要領で1曲歌って8回(1日に4曲歌ってノルマ達成!)

YOGA(ヨガ)も鼻呼吸が身に付きます

 

YOGAは鼻で深く落ち着いた呼吸をしながらさまざまなポーズを取ります。深くゆっくりと呼吸することで副交感神経優位になり、リラックス効果も得られ、ストレス解消に効果的です。鼻で呼吸していますので、YOGAの呼吸法を習得すれば、自然にウイルス感染予防にとって効率の良い呼吸をすることができています。

免疫力の低下には「疲れ」や「ストレス」も関係するといわれていますので、休校や休職を余儀なくされてしまい自宅で過ごすことが多い方は、親子でYOGAをされるのもオススメです。呼吸法だけでなく、運動不足の解消やお子さんとのスキンシップを図るのにもよいですね♪

まとめ

新型コロナウイルスは見えないだけに、どんなところで感染するのか解りませんし、罹ってしまった時の薬などの対処法が不明瞭なため、不安な日々が続いていると思います。

どんな病気でもそうですが「病は気から」と言われるように、不安やマイナスに気分が傾いているほうが身体も病気に負けてしまいます。

新型コロナウイルスに罹らないように感染対策をおこなうことは大切なことですが、あまりに敏感になり過ぎて外出もままらないのは、お子さまだけでなく保護者にとっても大きなストレスになります。そんな状況では免疫力も下がってしまい本末転倒。まずはポジティブ思考・楽しく予防!してみませんか?

歯磨きはどなたもおこなう毎日のケアのひとつでしょう。まず、朝起きたら食事する前にうがいと歯磨きをしませんか?そこからスタートです! そして、出先から帰ってきたら必ず手洗い・うがいを欠かさない。 さらに、お風呂でお子さんと一緒にあいうべ体操ソングを歌う♪

お口は「健康への入り口」です!

オーラルケアと口腔機能の向上で、新型コロナウイルスにも負けない健康な身体づくりをしましょう

 

ABOUT ME
江頭 小百合(歯科衛生士)
江頭 小百合(歯科衛生士)
3姉妹の母、歯科衛生士ライターとして活躍中。小児歯科の現場や母親としての経験を活かし、お口の悩みやギモン、歯の健康に大切な情報をみなさんに楽しく・解りやすくお伝えしてもらっています。「418PROJECT」、歯科衛生士スタディグループ「Hygeia(ヒュギエイア)」在籍。