矯正治療には、多くの症例でスペース確保のための抜歯を余儀なくされることがあります。
中には、健康な歯なのに抜かなければならないことへ抵抗を感じるかたもいらっしゃるでしょう。
抜歯が必要なケースとはどんな歯並びなのか、また他に方法があるかなどを踏まえてご紹介したいと思います。
矯正するためには奥歯を抜かないとできないのでしょうか?
全てではありませんが、どうしても抜歯をしないと動かすのが難しいケースがあります。 矯正治療を行う上で、もちろん抜歯をせずに歯を並べることができれば理想的です。しかしスペース不足の問題や、のちに悪影響を及ぼす可能性がある親知らずは矯正を始める前に抜歯をすることがあります。
顎の大きさに対して歯が並びきれていない場合(スペース不足)
よくあるケースとして、小臼歯を前後左右対称に4本、親知らず4本の抜歯をおこなうことがあります。中には親知らず4本と小臼歯4本の8本も抜歯と言われて気が重いという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
けれども矯正は歯がきれいに並ぶことだけが目的ではなく、上下左右の咬み合わせも正しい位置に導くことが必須です。そう考えると、左右対称の歯4本抜歯しないとバランスが取れないのです。
抜歯せずに並べることができる方法もある?
歯列矯正を行う前には、レントゲン撮影や模型づくりなどをおこない、矯正専門医が緻密な計算の下で歯が並ぶかどうかを精査します。
もちろん健康な歯を無下に抜歯するということは、咬合力の低下を考えるとしたくない処置でもあります。顎の大きさに対して歯が十分に並ぶスペースがある場合や、拡大装置で顎を広げて、スペースを確保できる状況であれば、抜歯せずに歯列矯正をおこなえるケースもあります。
拡大装置
顎の内側に装置を入れ、数カ月間徐々に装置を広げながら顎を押し広げる方法です。これによって歯が正しく並ぶスペースを確保できる症例であると判断された場合は抜歯せずに拡大をおこなうかどうか、歯科医師が提案します。
マウスピース矯正
もともと並ぶスペースは足りている場合は、マウスピースの圧力で歯を正しい位置に並べる簡易的な方法もあります。ただし、歯が重なり合っていたり、骨格的な歪みがある等の場合には適応が難しいことのほうが多いようです。
まずは精密な検査・診査が必要です!
抜歯せずに矯正治療がおこなえるかどうかは、実際に詳しく診察・検査してみなければ判断できません。もちろん抜歯せずに矯正が可能な場合もありますので、矯正専門医と相談して決断してくださいね。