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お口の健康コラム

神経を抜いたはずの歯がまた痛む?!こんなことってあるの?

こんにちは。418編集部 歯科衛生士の江頭です。

前回、『2次虫歯を放置した結果 神経を抜くことになったお話』というコラムをご紹介しましたが、今回はその続きのお話です。※前回のコラムはこちら

「あれ?神経を抜いて根っこの治療をして終わったのでは?」と思った方もいるかもしれませんね。そうなんです。神経の治療に頑張って1ヶ月半通い、無事に銀歯を入れたのですが…。何と半年後、ふたたびこの歯の神経治療をすることになりました(泣)

今回は神経の再治療になったお話しをさせていただこうと思います。

神経の治療はなかなか終わらない?!

「歯の神経を抜くと治療が長くかかる」と聞いたことはありませんか?

私の周りでも、神経を抜いた経験から「通院が長くて」とか「一度治したのにまた痛み始めて治療している」といったお声はよく耳にしていました。

実際に私自身も初めて神経を抜く処置を受け、週に1回約1カ月半洗浄と消毒に通い、その後歯冠修復治療をしたため合計2か月ほど通院しました。それでも、半年後に再度痛み出し再治療を受けることになったのです。

再治療では思い切って歯科医院を変えました。そして神経の治療を再度行い、今回は約3カ月半かけて再治療を終えることができました。今回は通院の中で感じたことや、再治療で学んだことを皆さんにぜひシェアさせていただきたいと思います。

そもそも「神経を抜く」とは?

一般的に「神経を抜く」というので、歯に通っている神経だけを抜いていると思われがちですが、ちょっと違います。「なぜ神経が無くなったはずの歯なのに痛むの?」という疑問を持たれる人が多いのもそのためです。

実は歯の中心部分にある歯髄腔(しずいくう)という空洞には、神経だけでなく血管や他の組織も入っており、神経を抜く処置の際にはこれらすべてを取り除く必要があります。

細かい毛細血管や悪くなってしまった組織をしっかり除去しておかないと、再度不具合を起こしかねないため、何度も繰り返し根管内を清掃する治療を行う必要があるんですね。

神経の治療をした歯は「治った」のではない

神経を抜くと、炎症や排膿が落ち着き痛みは治まります。とはいっても治ったわけではありません。神経を失った歯は血管から貰っていた栄養が送り込まれなくなり死んでしまいます。失活歯(しっかつし)と呼ばれる神経を失った歯は、歯のツヤや弾力性が損なわれ、もろくなり衝撃にも弱くなってしまいます。

また神経の治療後は銀歯や人工歯を被せるため「治った」と思われがちですが、これも違います。あくまでも「修理」なんです。

そして被せ物と歯根との境目から虫歯になった場合に、神経が無いため痛みなどの症状が出にくく、気づかないうちに大きな虫歯になってしまうというリスクを抱えます。

神経を抜いたのに再度痛むことがある

これが今回、私が経験したことです。神経を抜いてしっかり治療を終えたはずの歯が再度痛み出すという現象ですね。

先ほどご紹介したように、被せ物の下で知らないうちに虫歯が進行し、歯の根っこが細菌感染を起こしたり排膿を伴った場合にも再度痛みを感じることがありますが、私の場合はレントゲンを撮影しても、歯の根っこに病気は起こっていませんでした。

神経を抜いたはずの歯が再度痛む理由にはもうひとつ「神経の治療は完治が難しく難易度が高い」ということも関係しているのです。

 

神経の治療は難しい?!

歯の神経を抜く『歯内療法(しないりょうほう)』という治療は、歯科治療の中でも難易度が高いとされている治療です。歯科医師には、専門的豊富な知識や経験値の高さや治療技術の高さが求められるともいわれる治療のひとつです。

歯の内部が複雑な構造をしている

神経の入っている根管はわずか数ミリしかなく、また歯の内部ですから歯科医師は直視できません。また、「根管」といってもパイプのように1本の空洞になっているわけではなく、歯の種類によって本数が違ったり、それぞれ太さや長さ、形もさまざまです。そしていちばん厄介なのは、神経も1本ではなく細かく枝分かれしていたり網目状になっていたりすることもあるということです。

この肉眼で確認できない部分を、歯科医師はレントゲン画像や専用の根管を計測する器械を用いて立体的にイメージし、手先の感覚で行うことになります。そのため、神経を抜く治療と、その後続く根管内の清掃と消毒の治療は、歯科医師の「技術力」が左右すると言っても過言ではありません。

じゃあ、どんな歯医者さんがいいの?

↑ということになりますよね(汗)

私も歯科衛生士ということで、知人によく「どこの歯医者さんがおすすめ?」と聞かれます。歯科医療従事者であるとはいえすべての歯科医院を周知しているわけではありませんし、歯科医院によって得意分野がありますので、ご自身に合った医院選びをするのが一番です。

ただ、歯科医院はコンビニよりも多くあるといわれていますから、たくさんあり過ぎてどこを受診したらよいのか迷いますよね。歯科医院を探す際のコツはまず、症状に合わせて選ぶのがよいと思います。

一番良いのは「ご自身が信頼して通院できる」ということ

昔から馴染みの医院さんに…ということも確かにあるとは思います。もちろんこれまでの通院歴がカルテとして残っていますし、顔なじみの気心知れたスタッフがいる安心感もあるでしょう。でも、もしかしたらその医院が、自分が受けたい治療を得意としていない場合もあるかもしれません。

歯科検診や虫歯予防、簡単な虫歯治療はさておき、今回の私のように高度な技術を必要とする専門性の高い治療と思える症状に関しては、最初からもっと歯の根っこの治療を得意とする歯科医院を探せばよかったと思っています。

患者は最適な治療を受けるために選ぶ権利がありますから、私は別の医院にかかることを「かかりつけの歯医者さんに悪いな」と思われなくて良いと思っていて、少しでも疑問を感じたら『セカンドオピニオン』という選択肢もあると考えます。

自身が信頼し、安心して治療を受けられる歯医者さんに出会えるよう、医院の特性などをリサーチされるのもよいと思いますよ。

どうやって探すの?

経験が多いから技術が高いとも限りませんし、歯科医師の知識や経験値、治療技術のセンスなんて言われても解りにくいですよね。もし探すときの方法のひとつとするならば、医院のホームページをチェックしてみるのはおすすめです。

最近ではホームページが無い医院も少ないですし、もし無い場合でも歯科情報サイトや医院まとめサイトなどもありますので、力を入れている分野や専門性、歯科医師の保持資格(認定医や専門医など)なども調べることができます。また、取り組んでいる内容や院内設備なども掲載されていることも多いので、それらも参考になりますよ。

根管治療で言うならば、レントゲンはデジタルかどうかや、歯根の形が細部に確認できるCTがあるか、歯科医師が治療でマイクロスコープを使っているかなど参考にされるとよいと思います。

 

私の経験した2回目の根管治療の流れ

では次に、 私が実際セカンドオピニオンをしてみてどうだったのかの体験をお話しします。患者の症状によって治療の流れはさまざまですので、一例として参考にしていただければと思います。

まずはしっかりカウンセリングと診査から

2回目の治療ということや、主訴が痛みのある奥歯だからといっても、その歯科医院は初めて。主訴が痛いところだったとしても、まずはしっかりカウンセリングを受けます。

とはいえ、忙しさや時間の制限など、個々に状況も違うと思いますので、歯科医院では大抵問診時に治療の希望を聞かれると思います。問診ではどの医院でも大抵「気になるところだけ」という選択肢もありますから、問診時にはご希望に合わせて選ばれてもよいとは思います。

たまに、「新しい歯科医院で、頼んでも無いのにレントゲンを何枚も取られた」と言っている人も聞いたことがあります。歯科医院では主訴はもちろん優先的に治療するために事前診査しますが、個々のお口全体の状況を把握することで、主訴の歯を治すだけでなく守ることにもつながる治療をおこなうために事前準備として診査を行っているんです。

最初は「面倒だな」と思うかもしれませんが、これまでお口の中がどのようにして現状に至ったかを把握するためには必要なことだと考えます。

2度目の根管治療がスタート!

レントゲンで確認すると、私の歯は3本に分岐している根っこのうちの1本が狭く、十分に神経が取りきれていないのではないか。そのため根っこの一部が炎症を起こして痛みが出ているのではないかという診断でした。

被せていた銀歯を外し、再度埋めていた根管から薬を撤去して、再度根管内を清掃・消毒する日々のスタートです。

根っこの治療は「根気」といっても過言ではありません!週に1回通院となると億劫になることもあるかも知れませんが、間が開いたり辞めてしまうと、治療期間が延びたり状況が悪化することもあります。

忙しい方は通院も難しいかも知れませんが、ここで早く終わらせてしまうようなことがあれば、再度痛みを起こすような事態を招くかもしれません。

約3カ月の治療期間を経て治療終了~♪

1週間に1度、約2カ月ほ根管内をしっかり清掃していただき、痛みや炎症が無いことを確認して、内部を詰める「根管充填(こんかんじゅうてん)」をおこないました。

1本1本の根管の状態や入れるお薬の種類や必要性などしっかり説明していただいてからの治療だったので安心してお任せすることができました。やっぱりインフォームドコンセント(説明と同意)って本当に大事ですね。どんな状況で、だからどんなお薬を使ってどういう治療をしているか想像ができるくらい理解しておくことをおすすめします!

「悪いな」と思わなくてよいので、分からないことはどんどん質問してください。

 

まとめ

神経を抜いたはずの歯は「痛みを感じないはず」というのは違う。ということ、お解りいただけたでしょうか?

歯や顎の骨などは一度破壊されてしまった組織を元に戻すことはできません。虫歯や歯周病で失った歯質は顎の骨は「修理」で復元しているだけなんです。復元した後はメンテナンスがとても需要で、怠ると取り返しのつかないことになってしまうこともあります。

特に歯の神経は、失ってしまうと治療が長引くだけでなく、治療後も気にかけていく必要があります。そうならないためにどうしたらいいのか考えると

・虫歯にならない健口づくり

・早期発見・早期治療のために定期検診を受ける

ということが大切です。特に永久歯は6歳ごろから生え始め、一生使うと考えると長いお付き合いになりますよね。子どもの頃にいかに虫歯にならないように予防していくかがとても重要になります。

治療後、私も再度お口の健康に意識を向けなければ!と思わせていただく良いきっかけとなりました。今は2カ月に1度、お口のメンテナンスに通っています♪

2ケ月に1度とは言わずとも、お子さんであれば3~4カ月に1回、大人の方は半年に1回のペースくらいで歯科医院でお口のチェックとメンテナンスをおすすめします!

 

  • 記事を書いたライター
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江頭 小百合(歯科衛生士)

3姉妹の母、歯科衛生士ライターとして活躍中。小児歯科の現場や母親としての経験を活かし、お口の悩みやギモン、歯の健康に大切な情報をみなさんに楽しく・解りやすくお伝えしてもらっています。「418PROJECT」、歯科衛生士スタディグループ「Hygeia(ヒュギエイア)」在籍。

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