お子さんの歯の生え方で、色や形がおかしいのかな?というお悩みの相談を受けることがあります。今回は、よく質問のある「エナメル質形成不全」と「上皮真珠」という症状をご紹介したいと思います。
生えてきた歯の色が白濁(または黄色)していますが大丈夫ですか?
生えたばかりの歯なのに歯の色がくすんだ感じに白濁していたり、黄色みを帯びていることがまれにあります。これは、歯が歯茎の中で形成される過程で何らかの要因で一部分形成不全を起こし、歯の質が弱く出来上がってしまった部分です。これを「エナメル質形成不全」といいます。
エナメル質形成不全ってなに?
歯がまだ「歯胚(しはい)」といって、歯茎の中で作られている段階に起こる症状で、明確な原因は解っていません。
通常、歯の表面は「エナメル質」という硬い層で覆われていますが、このエナメル質が弱いと歯が酸に弱く溶けやすいため、他の歯が溶けない程度の酸性度合いでも溶けてしまい、虫歯になってしまいます。
対処法は?
歯の質を戻すことはできないため、対処法としてはフッ素塗布をおこない歯質強化をおこなったり、歯科検診の間隔を短めにして、もし虫歯になってしまっても早期に対処できるようにしましょう。
対処としてはフッ素塗布で様子を見るか、形成不全の度合いが大きい場合には、プラスチックの被せ物で治療を施したりします。崩壊が酷い場合には抜歯に至ることもあります。
歯茎に白く丸いものが見えますが何ですか?
これは「上皮真珠」という症状の可能性が高いです。
乳歯が生える前の歯茎だけの時にできる、米粒大程度の白いコブで、丸くて白っぽいものが上皮から透けて見えるのが真珠に似ていることからこう呼ばれています。
1つから複数現れることも…
数は1つの場合だけでなく複数現れることもあり、産まれてすぐや生後数か月のまだ乳歯が生える前の赤ちゃんによく見られる症状。痛みは感じないようです。
上皮真珠はママのお腹の中にいるとき、赤ちゃんの歯茎の中ですでに乳歯が作られていますが、その過程で歯の表面組織であるエナメル質の一部が吸収しきれずに残ったものだと考えられています。
対処法は?
もしもお口の中に上皮真珠らしきものを見つけた場合、放置していても数カ月もすれば自然消滅することが多いのですが、なかなか消えないといった場合には、もしかすると先天性歯(生まれた時から生えてしまっている歯)の可能性もあります。先天性歯の場合、授乳の際に乳首損傷の原因になったり、自分のお口の中の歯茎や唇を傷つけてしまう原因になることもあるため、対処が必要な場合もあります。
気になったらまず、かかりつけ歯科へ!
歯が少ない乳児の時期に、お口の中をまじまじと見る機会はそうありませんよね。お口の中は日常見えない場所のため、異変になかなか気づきにくいこともあります。 歯の生え方が気になったら、できるだけ早めにかかりつけ歯科に相談してみてくださいね。